写真=WindBorne Systems

米空軍は、WindBorne Systemsと最大4900万ドル(約74億円)の気象データ供給契約を結んだ。世界各地を飛行する自律型気象バルーンが収集した大気観測データを調達し、軍事作戦に活用する。

18日付のTechRadarによると、契約相手は米カリフォルニア州のスタートアップ、WindBorne Systems。契約額の上限は4900万ドルだが、実際の調達額は米空軍の需要に応じて変動する。これまでの発注額は約170万ドル(約2億5500万円)としている。

WindBorne Systemsは現在、世界で約700機の自律型気象バルーンを運用している。バルーンには大気の状態を観測するセンサーを搭載しており、収集したデータは気象予測やAIモデルの開発に活用される。

特徴は、推進機を使わずに目標地域へ移動できる点にある。内部の空気量や砂のバラストを調整して高度を変え、各高度で異なる風向や風速を利用して航路を制御する仕組みだ。

8月には、自律型気象バルーンを台風「ドルフィン」の目に到達させ、大気データの収集に成功した。無動力のバルーンを台風中心部へ誘導したのは、同社によると初めてという。

WindBorne Systemsの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)、アンドレイ・スシュコ氏は、精度の高い気象モデルと十分な規模のバルーン網が今回の成果を実現したと説明した。あわせて、ディープラーニングモデルを実運用の意思決定に適用した先行事例でもあると強調した。

今回の契約は、競争入札を経ずに締結された。米空軍は、特定の地域や期間の観測データを必要に応じて購入できる。契約期間は2033年9月まで。

WindBorne Systemsは、今回の契約をてこにバルーン網の拡大とハードウェアの研究開発を進める方針だ。同社は観測データを自社のAI気象予測システム「WeatherMesh 6」にも活用しており、欧州の既存の気象予測モデルを上回る精度だと主張している。一方で、その優位性については独立した検証が必要だとしている。

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