Charles Schwabのリック・ワースターCEOは、AIエージェントが顧客資金を自動的に移動したり、投資判断を全面的に代替したりするとの見方に慎重な姿勢を示した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで明らかにした。
ワースター氏は、多くの顧客が今後も人とテクノロジーを組み合わせたサービスを求めるとの見方を示した。AIの利用が広がっても、高額の資金に関わる重要な判断では、人の助言を求めるニーズが残るという。
その例として、ChatGPTを「親友」と呼び、日常的に会話している高齢の顧客を挙げた。ただ、その顧客も大きな資金に関わる決定では、Charles Schwabのアドバイザーに電話をかけるという。
MetaがAIエージェント「Muse」を打ち出したことを受け、市場ではエージェントが顧客の現金をより高い金利の口座へ移すのではないかとの懸念が広がった。これを背景に、Charles Schwab株は6%超下落した。
これに対しワースター氏は、こうした大規模な資金移動が起きる可能性は「極めて低い」と述べた。Charles Schwabでは、外部のAIエージェントが顧客口座にログインすることを認めていないという。
また、顧客が現金を放置しているとの見方にも反論した。「顧客はそれぞれの判断で現金を保有している」と指摘し、忘れられた資金が大量に滞留しているとの見方は誤りだとした。
AIエージェントが売買を代行する「エージェンティック・トレーディング」に対しても懐疑的だ。ワースター氏は「市場に勝つ魔法の公式はない。そんなに簡単なら、多くのヘッジファンドがすでにやっているはずだ」と語った。
あわせて、エージェンティック・トレーディングを推進する企業の相当数が、取引手数料収入に依存する事業者だとも指摘した。さらに「投機性の高いものを投資商品のように見せる会社もある。最終的に誰が利益を得るのかを見極める必要がある」と警鐘を鳴らした。
一方で、Charles Schwab自身もエージェント機能の強化を進めている。AIアシスタント「Charley」を通じ、顧客がこれまでウェブサイトやアプリで直接行ってきた各種操作に順次対応できるようにする方針だ。
ワースター氏によると、顧客はウェブサイトやモバイルアプリ上で、音声またはテキストを使って相場の確認、残高や取引履歴の照会、ウォッチリストや通知の管理などをCharleyに任せられるようになる。
ただし、こうしたエージェントも完全自律で動くわけではない。ワースター氏は、顧客があらかじめ定めた条件の範囲内で機能するのが原則だと説明し、「非常に慎重に進める」と述べた。