インフレがBitcoinの投資妙味を高める一方で、高金利環境が保有コストの上昇要因になっている。暗号資産メディアのCryptoslateは17日(現地時間)、同じ価格水準、同じ保有期間でも、資金の調達手段によって収益率が大きく変わると報じた。
米国では9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.7%上昇し、インフレ圧力が続いている。こうしたなか金利も高止まりしており、借り入れでBitcoinを購入する際のコスト負担は重くなっている。米連邦準備制度理事会(Fed)によると、13日時点の3カ月物米国債利回りは4.26%だった。
自己資金で1万ドル分のBitcoinを購入した場合、利払い負担は発生しない。ただ、同額を国債に投じていれば1年間で426ドルの利息収入を得られた計算になり、Bitcoin価格が横ばいでも機会費用は生じる。
借り入れで投資した場合の負担はさらに大きい。年利8%で1万ドルを借り、計2万ドル分のBitcoinを購入したケースでは、年間の利払いは800ドルとなる。1年後もBitcoin価格が変わらなければ、返済後の残高は9200ドルにとどまり、自己資金ベースで8%のマイナスとなる。
この前提では、借入コストを打ち消すにはBitcoin価格が4%上昇する必要がある。さらに、自己資金で投資した場合の機会費用まで取り戻すには、6.13%の上昇が必要になるという。
価格が動いた場合の差も大きい。Bitcoinが10%下落すると、自己資金での投資は9000ドルが残るのに対し、借り入れを使った投資では7200ドルまで目減りする。逆に10%上昇した場合は、それぞれ1万1000ドルと1万1200ドルとなり、上昇局面ではレバレッジ効果が働く。
もっとも、下落局面では追加証拠金の差し入れや強制清算が発生し、相場がその後に持ち直しても利益を取り込めない可能性がある。
先物取引では、こうしたコストが先物価格に織り込まれる。現物価格が8万ドルのとき、90日物先物が8万1200ドルなら、プレミアムは1200ドル(1.5%)となる。これを年率換算すると約6.08%で、満期時点でも現物価格が変わらなければ、先物の買い手は借り入れを使わなくてもプレミアム分の負担を抱えることになる。
満期のない無期限先物では、資金調達率(ファンディング)によって価格差が調整される。Deribitのルールでは、ファンディングがプラスならロングがショートに支払い、マイナスならその逆になる。国債金利が高い局面でも、相場が下落すればファンディングがマイナスに転じる可能性がある。
Cryptoslateは、インフレヘッジとインフレ連動は別の概念だと指摘する。Bitcoinの供給量は2100万枚に制限されており、Strategyのマイケル・セイラー会長が強気論の中核根拠としてきた。ただし、CPIが上昇したからといって、Bitcoin価格が自動的に上がるわけではない。
比較対象として挙げられる物価連動国債(TIPS)は、元本が物価指数に連動して調整される。13日時点の10年物利回りは2.88%だった。Cryptoslateは「インフレはBitcoin保有の論拠を強める可能性があるが、高い金融コストは、その論拠が実証されるまでの猶予を短くする」と説明している。