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個人向けAIエージェントの普及を受け、金融機関や消費者向け企業の間で、外部AIエージェントの利用を制限する動きが広がっている。業務代行の利便性への期待がある一方、金融では預金流出、ECでは決済権限や顧客接点の喪失といった懸念が強く、受け入れには慎重な姿勢が目立つ。

AIエージェントは、消費者や開発企業にとっては日常業務を代行する有力な手段になり得る。ただ、Webサイト運営者にとっては、セキュリティや運用負荷、顧客との関係維持など新たな課題も突き付ける存在となっている。

金融業界では、Citi Group、Bank of America(BofA)、JPMorgan、Charles Schwabなどの大手が、外部AIエージェントによるアクセスを制限している。各社は主にセキュリティ上の懸念を理由に挙げるが、顧客の代理としてAIエージェントがより高い利回りを求めて資金を移せば、大規模な預金流出につながるとの警戒感も背景にあるとみられる。Financial Times(FT)は、銀行各社が規制当局に対し、「AIエージェントが高利回りの商品を求めて資金を移動させ、預金流出を招きかねない」と問題提起していると報じた。

銀行に限らず、消費者向け企業でも外部AIエージェントの利用に慎重な動きが出ている。The Vergeによると、レビュー・プラットフォームのYelpは、データライセンス料を支払うAIエージェントに限ってアクセスを認める方針を示した。Delta Air Linesも、利用者に代わる航空券予約を阻止している。

EC業界でも事情は複雑だ。Wall Street Journal(WSJ)が、検索・AI検索最適化を手掛けるBrightEdgeのデータを引用して報じたところによると、AIエージェント経由の購入は4月以降で約4倍に増え、月次成長率は43%に達した。それでも、BrightEdgeと協業するEC企業のうち、AIエージェントが消費者の代理として実際に取引を実行できるようにしている企業は3%にとどまるという。

背景には、検索トラフィック分析やソーシャルメディア活用の知見は蓄積してきた一方で、流入が増えるAIエージェントへの対応が定まっていないことがあるとみられる。WSJは、人間の検索やクリック行動は追跡しやすいのに対し、外部AIエージェントは「誰の代理か」が見えにくいケースが多く、顧客が何を望み、次に何を求めるのか把握しにくいと伝えた。

さらに、複数のAIモデルが商品候補を異なる基準で評価する点も、マーケティングを難しくしている。BrightEdgeのCEO、ジム・ユー氏は「マーケターの仕事は複雑になるが、非常に興味深い局面でもある」と述べた。

外部AIエージェントを受け入れるコストも小さくない。企業側には、市場支配力の低下や顧客接点の希薄化に加え、購入プロセスでミスが起きた場合の返品増加やクレジットカード決済の取り消しといったリスクがある。米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォラー理事は、AIエージェントが介在すると取引当事者の本人確認や取引の正当性確認が格段に複雑になると指摘した。そのうえで、論点は「購入者本人が正当な決済権限を持つか」の確認から、「AIエージェントが購入者に代わって決済する権限を持つか」の立証へ移りつつあると述べた。

大手ECプラットフォームでは、事業構造上の利害も判断に影響している。Amazonは、MetaのMuseやOpenAIのDotsといった外部AIエージェントによる同社プラットフォーム上での買い物を阻止している。WSJは、有料会員制サービスのAmazon Primeの利用者が多いことから、会員がAIエージェントの遮断を理由に購入先を変える可能性は低いと報じた。Rosenblatt Securitiesのスコット・デビット氏も最近のリポートで、「商品検索から取引、注文処理、データ管理まで単一のエコシステムで完結するAmazonにとって、バリューチェーンの一部でも外部AIエージェントに委ねる理由はほとんどない」と指摘した。

これに対し、Amazonほど失うものが大きくない小売企業の一部は、外部AIエージェントの受け入れに前向きだ。Targetは承認済みの外部企業によるAIエージェントに門戸を開き、WalmartもAIツール経由のトラフィック拡大を狙ってOpenAI、Googleと協業している。

EC企業の間では、自社製AIエージェントの開発も加速している。デリバリー・プラットフォームのDoorDashは自社エージェント「Ask」を公開した。WSJは、顧客が企業独自のAIエージェントより外部AIエージェントの推薦を信頼する可能性がある一方、自社開発のエージェントは在庫や販促情報をより正確に把握でき、顧客の課題にも対応しやすいと伝えた。

一方、不正利用やハッキング対策で導入されてきたボット遮断システムも、MetaのようなAIエージェント企業にとっては障害になっている。クラウド・セキュリティ企業のCloudflareは2025年、AIクローラーをワンクリックで遮断できる機能を投入し、検索インデックス作成とAI学習用データ収集を同時に行うクローラーもブロックできるようにした。

Redditには、Googleが「不審な活動」を理由にMuseを利用する一部アカウントをブロックしたとの投稿があり、Metaと提携するWalmartでも決済できない事例が出ている。The Vergeは、こうした動きが人間確認手続きの強化につながり、Web利用をかえって煩雑にする可能性があると報じた。AI安全性評価企業EquiStampのCEO、クリス・キャナル氏は「企業がAIエージェントの活動を積極的に遮断すれば、オンラインで処理できる有用な作業は減る」と指摘している。

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