写真=Dell Technologies公式サイト

Dell Technologiesのマイケル・デル最高経営責任者(CEO)は、AIサーバーの供給制約について、需要減退ではなくメモリ不足が主因だとの認識を示した。来年についても、足元の状況を踏まえ「さらに悪化する」との見通しを示している。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が16日(現地時間)、同CEOとの対話内容を報じた。

デルCEOは、AIブームの失速にどう備えるかとの問いに対し、「新しい課題が生まれたのは確かだ。だが当社の現金転換サイクルを見ると、依然としてマイナスだ」と述べた。AIバブル懸念を背景に投資家が大型ハイテク株を売る局面でも、同社の事業運営には耐性があるとの見方を示した形だ。

その支えとして挙げたのが、ジャストインタイム(JIT)の生産体制である。Dellは注文を受けてからAIサーバーやPCを組み立てるため、代金を先に受け取り、部品サプライヤーへの支払いを後ろ倒ししやすい。このため手元資金を確保しやすく、売れ残り在庫を抱えるリスクも抑えられる。現金転換サイクルがマイナスだという説明は、こうした運営構造に基づく。

これは、AmazonやGoogleなどのハイパースケーラー、CoreWeave、Nebius、Crusoeといったネオクラウド各社が、負債を積み増しながらデータセンター建設を進めるのとは対照的だ。WSJは、AIインフラ需要の恩恵を受ける企業の中でも、Dellの手法は異色だと伝えた。

WSJによると、Dell Technologiesの企業価値は過去1年で約4倍に拡大した。今会計年度の売上高は70%増が見込まれている。Supermicro、HPE、Lenovoなど競合は多いものの、企業が自社導入するAI向けサーバー市場ではDellが首位だという。

デルCEOによると、同社がAIデータセンターの顧客3200社を獲得するまでには2年を要した。SpaceXもその1社だ。一方、直近9カ月だけで顧客はさらに3300社増えた。未納入のAIサーバー受注残高は950億ドル(約14兆2500億円)に達している。

足元では、AIバブル懸念を背景に半導体メーカーやネオクラウド、大手ハイテク各社の株価が下落しており、Dellも例外ではない。もっとも、JITが常に有利に働くわけではなく、顧客の発注が減れば売上高がすぐ落ち込むとの見方もある。

これに対しデルCEOは、足元の問題は需要ではなくメモリチップの不足にあると説明した。受注したサーバーを納期通りに納入するには十分なメモリが必要だが、供給が追いついていないという。来年の見通しについても、状況は「さらに悪化する」と語った。

マイケル・デルCEOは1984年、大学の寮で1000ドルを元手に、直販型PC企業としてDellを創業した。現在はPCに加え、エンタープライズ向けサーバーやストレージ市場でも有力企業として知られる。フォーチュン500企業の現職CEOでは在任期間が最長で、ドットコムバブル崩壊を経営者として経験した数少ない人物でもある。妻のスーザン・デル氏とともに、子ども2500万人分として「トランプ口座」に62億5000万ドル(約9375億円)を寄付したほか、生前に資産のほぼ全てを拠出する計画も明らかにしている。

WSJは、Corningのウェンデル・ウィークスCEOも、マイケル・デルCEOと同様にドットコムバブル崩壊を経験した経営者だと紹介した。Corningは当時、光ファイバーブームで急成長したが、バブル崩壊で業績が急落した。この経験を踏まえ、同社はAI投資に伴うリスクの抑制にも積極的だという。原材料加工企業であるため、Dellのように代金を先に受け取る手法は取りにくい一方、NVIDIA、Amazon、Metaなどの顧客に光ファイバー工場の増設費用を共同負担させることで、リスクを分散しているとWSJは報じた。

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