トークン化資産市場は拡大を続けているが、投資需要と流動性の裾野はなお十分に追いついていない。Cointelegraphによると、シンガポールで16日に開かれた「Connect」では、RWAのトークン化、ステーブルコイン決済、オンチェーン取引インフラ、ベンチャー投資の回収環境が主要テーマとして議論された。
RWAのトークン化を巡っては、供給と需要のミスマッチが最大の課題として挙がった。GSRのChief Revenue Officer、アレックス・タフ氏は、未上場株やコモディティ、海外株へのアクセスは改善していると説明した。
一方で、RWAの発行拡大に投資需要が追いついていないとの見方も示された。資産の発行体や対応ブロックチェーンの増加に伴い、流動性の分散が進んでいるためだ。DWF Labsのパートナー、リンリン・ジャン氏は、同じ基礎資産であっても発行主体ごとに異なる流動性プールへ分断されている点を問題視した。
ステーブルコイン分野では、越境送金そのものより、日常の支払いで実際に使える環境の整備が重要課題として浮上した。Etherfiの創業者兼CEO、マイク・シラガゼ氏は、ステーブルコインによって資金移動は容易になった一方、普及の成否は生活費や請求書の支払いに使えるかどうかにかかっていると指摘した。
同氏はシンガポールを例に挙げ、USDCを保有していても請求書の支払いには依然として現地通貨が必要だと述べた。
普及に向けては、ユーザー体験(UX)の改善と規制対応も欠かせない。USDDのコミュニケーション責任者、イボン・チア氏は、利用者がステーブルコインを使っていることを意識しないほど自然な体験が必要だと語った。Mercuryoの最高顧客責任者、アシナ・バゲルラ氏も、Apple Payのようにアプリを切り替えず決済を完了できる仕組みが求められると述べた。
Finhavenの共同創業者兼CEO、イリヤ・ポドイニチン氏は、国ごとに異なる規制に合わせ、インフラとコンプライアンス体制を調整する必要があると説明した。ステーブルコインの時価総額は3060億ドル(約4兆5900億円)で、前年同期比で約2%増、直近12カ月間では約74%拡大した。
オンチェーン取引インフラでは、チェーンごとの流動性の可視化と、取引相手方リスクの管理が課題に挙がった。DoubleZeroの共同創業者、オースティン・フェデラ氏は、ブロックチェーン間で流動性を移すのは伝統的な金融市場より難しく、流動性の分散は約定の問題にとどまらず、データ整備の課題でもあると述べた。
Arkham Intelligenceの創業者兼CEO、ミゲル・モレル氏は、オンチェーンデータを使えば、取引相手方リスクや預託金の流入経路を把握し、価格提示やコンプライアンス判断に活用できると説明した。
ベンチャー投資の回収環境の厳しさも続いている。Nomad Capitalのプルキット・グプタ氏は、直近3カ月の暗号資産市場では流動性が特に弱く、限られた資金も大型暗号資産に集中していると述べた。
OneAssetのCEO、ソニア・ショー氏は、市場の成熟に伴い、スタートアップにはより強固な事業基盤を示すことが求められる段階に入ったと語った。Funders VCのパートナー、アレクサンドル・ネチャエフ氏も、市場環境が急速に変化するなかで、創業チームの専門性と対応力が投資判断の中核になると指摘した。