ゼレンスキー大統領。中国がロシアの衛星通信網整備を支援していると主張した。

ボロディミル・ゼレンスキー大統領は、中国がロシアのStarlink代替となる衛星通信網の整備を支援していると主張し、ロシアの軍事上の優位確保につながりかねないと警戒感を示した。

TechRadarが10月16日に報じたところによると、ゼレンスキー大統領は、ロシアが中国の技術支援を受けて独自の衛星通信網を構築していると述べた。発言は、10月7日のロシアの巡航ミサイル攻撃で22人が死亡したプリルキで記者団に対して行ったという。

ゼレンスキー大統領は8月の時点でも、ロシアが中国の支援を受けてStarlink代替の衛星通信網を開発しており、2026年12月ごろに準備が整う可能性があると主張していた。9月30日には、デニス・シエニク駐米ウクライナ大使館臨時代理大使も、ロシアの衛星通信網に関与する主体への制裁を米国に求めている。

またゼレンスキー大統領は、ドナルド・トランプ米大統領に対し、ロシア企業と中国企業への制裁発動を繰り返し要請してきたと明らかにした。

問題となっているのは、ロシアのIKS Holding傘下のBureau 1440が整備を進める衛星通信網「Rassvet」だ。衛星は3月に16機、7月に16機が打ち上げられ、計32機となった。

ロシアは2026年に156機、2027年に292機を配備する計画だが、現時点で打ち上げられたのは年内計画に対して約5分の1にとどまる。

運用面でも課題が出ている。Rassvet-3の4号機は軌道上昇に失敗し、6月6日に大気圏へ再突入した。7月に打ち上げられた衛星のうち2機についても、軌道上昇機動が確認されていないという。

ウクライナ軍情報当局は、衛星数が不足し、効率も低いとみている。一方で、今後は運用範囲が広がる可能性もあるとしている。

中国による支援の具体的な内容は確認されていない。ゼレンスキー大統領も、関与した中国企業の名称は明らかにしていない。

Bureau 1440は衛星の中核モジュールを自社開発しているとしているが、専門家の間では、主要ハードウェアに中国製の汎用部品が使われた可能性が指摘されている。制裁回避ルートを通じて、米国や欧州製の部品がロシアに流入した可能性もある。

一方、ウクライナはロシア国内での運用も視野に、Starlinkの活用を検討している。ゼレンスキー大統領は、ウクライナのドローンがロシア国内の最大200km地点にある弾道ミサイル発射台やドローン発射地点を追跡するため、Starlinkを利用したい考えを示した。

ただ、欧州の代替衛星通信サービスは、現時점ではウクライナが求める水準に達していないという。

現時点で公表されている情報だけで、中国がロシアに完成した衛星通信網を提供した、あるいはロシアが数カ月以内にウクライナ上空で主導権を握ると断定するのは難しい。Rassvetの整備は進んでいるものの、中国の関与の規模や手法はなお不明だ。

今後の焦点としては、関連企業に対する米国の制裁措置に加え、ロシア国内でのStarlink利用が認められるかどうかが挙げられる。

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