ドナルド・トランプ米大統領は10月15日(現地時間)、12月3日に予定されるフォートフッド銃乱射事件のニダル・ハサン死刑囚の銃殺刑を巡り、生中継計画を撤回したと明らかにした。死刑は予定通り執行する一方、処刑の映像は一般公開しない。
Ars Technicaによると、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」に「ハサンは予定通り銃殺刑に処されるが、生中継はしない」と投稿した。被害者遺族の立ち会いは認めるとしている。
ハサンは元米陸軍将校で、2009年にテキサス州フォートフッドの軍基地で銃を乱射し、13人を殺害、32人に負傷させたとして有罪判決を受けた。今回執行されれば、米陸軍による死刑執行は1961年以来となる。
中継計画を巡る論争は、ピート・ヘグセス国防長官が処刑を生中継する方針を示したことをきっかけに広がった。ヘグセス氏は、重大犯罪には相応の代償が伴うことを示す必要があるとして、中継の意義を強調していた。
ただ、世論の反発は強かった。ABCニュース、ワシントン・ポスト、Ipsosが米国の成人2545人を対象に実施した調査では、回答者の約80%が生中継に反対した。トランプ氏の中核支持層とされるMAGA系の共和党支持者でも、55%が反対だった。
政権内でも、生中継が反米プロパガンダに利用される可能性を懸念する声が上がっていた。さらに、ハサンが下半身麻痺で車いすを使用していると伝えられたことで、障害のある受刑者の銃殺場面を公開する是非を巡る批判も出ていた。
技術面の課題もあった。SNSや放送プラットフォームでは暴力的なコンテンツに制限があり、配信手段の確保が難しいとの指摘があったほか、執行に関わる兵士の身元が明らかになるリスクも取り沙汰されていた。
トランプ氏は、生中継には犯罪抑止につながる可能性があったとしながらも、多くの人は処刑の場面を望んでいないと説明した。国防総省が進めていた公開中継案は、大統領の最終判断で見送られた。