スウェーデン中央銀行(Riksbank)は、将来的なデジタルクローナ導入に備え、関連法の整備に着手するよう議会に求めた。欧州中央銀行(ECB)によるデジタルユーロ計画の進展や、ドル連動型ステーブルコインの拡大を受け、中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入の是非を改めて検討している。
15日付のCointelegraphによると、Riksbankはデジタルクローナを巡る法制度の整備を速やかに始めるべきだと提言した。3年前の政府調査では「導入の必要性は十分ではない」と結論付けられており、今回はそれ以降の方針見直しとなる。
現時点でスウェーデン当局が発行を決めたわけではない。ただ、発行の是非とは切り離して、先に法的基盤を整える必要があるとの立場を示した。
Riksbankは、その背景としてECBの動向を重視している。ECBは2027年にデジタルユーロの試験事業を計画しており、2029年に正式導入する可能性もあるという。
Riksbankは、自国通貨のデジタル版を持たなければ、スウェーデンの決済システムの競争力が損なわれる可能性があるとみている。
あわせて、ドル連動型ステーブルコインも中長期的なリスク要因に挙げた。こうしたステーブルコインが魅力的な決済手段として定着すれば、国内で自国通貨クローナの利用が細るおそれがあると警告した。
立法準備を急ぐべきだとした理由の一つは、発行決定から実際の導入までに長い時間を要するためだ。Riksbankは、デジタルクローナの導入には少なくとも5年かかると見積もっている。
この試算には法改正に要する時間は含まれていない。最終的に発行を見送る場合でも、必要時に対応できるよう、法的な準備は今から進めるべきだとの考えを示した。
今回の提言は、スウェーデンの決済主権と通貨利用基盤を巡る懸念を反映したものでもある。デジタルクローナはなお政策検討段階にあるが、欧州でデジタル通貨を巡る動きが加速する中、スウェーデンでも制度面の備えを急ぐ方向に傾いている。
今後の焦点は、議会が実際に立法論議に入るかどうかだ。Riksbankは直ちに発行判断を求めたわけではないが、デジタルクローナが必要になった場合に備え、導入可能な体制をあらかじめ整えておくべきだとのメッセージを打ち出した。