ByteDance(写真:Shutterstock)

ByteDanceが、データセンター向けのカスタムAIチップ確保に向け、台湾MediaTekと最終調整を進めていることが分かった。米国の対中輸出規制によりNVIDIA製の先端AI半導体の調達が難しくなる中、代替となる計算資源の確保と供給網の多様化を進める狙いがある。

10月15日、IT・ブロックチェーン分野のメディアCryptopolitanが報じた。TikTokの親会社であるByteDanceは、米国の規制の影響でNVIDIAの最先端AIプロセッサを十分に確保しにくくなっており、代替手段の検討を急いでいるという。

交渉の対象は、特定顧客の計算需要に合わせて設計する特注半導体(ASIC)。ただ、発注規模は決まっておらず、契約締結には至っていない。協議がまとまれば、ByteDanceはMediaTekにとってGoogleに次ぐ2社目の大口ASIC顧客となる。

背景には、米国による対中半導体輸出規制がある。ByteDanceのほか、AlibabaやTencentもNVIDIAの最上位AIプロセッサを確保しにくい状況にある。Huaweiなど中国国内の供給企業も、旺盛な需要を十分に満たせていないとされる。

一方、米国の規定では、一定の性能基準を超えない範囲であれば、中国企業が半導体設計会社と直接連携することは認められている。ByteDanceはこれを活用し、5月にはAIデータセンター向けASIC数百万個をQualcommから購入することで合意した。今回のMediaTekとの協議も、AI計算インフラの拡張と供給網の多様化を進める一環とみられる。

MediaTekにとっても、今回の案件はデータセンター市場で存在感を高める好機となる。同社はスマートフォン向けプロセッサ事業で培った技術を基に、データセンター向けインフラ市場への展開を進めている。ByteDanceのような大口顧客を獲得できれば、QualcommやBroadcomが主導する市場で競争力の底上げにつながる。

MediaTekは、2026年のAIチップ売上高が約20億ドル(約3000億円)に達すると見込む。2027年までに800億ドル(約1兆2000億円)規模に拡大する市場で、15%のシェア獲得を目標に掲げている。9月には、NVIDIAが転換社債を通じてMediaTekに35億ドル(約5250億円)を投資すると発表した。これにより、MediaTekはカスタムアクセラレーターチップの開発に用いられるNVIDIAの「NVLink Fusion」プラットフォームにもアクセス可能になった。時価総額ベースでは、MediaTekは台湾でTSMCに次ぐ2位の企業とされる。

ByteDanceの大規模な投資計画も、AIチップ確保競争を後押ししている。Bloombergによると、同社は2026年の設備投資額を最大700億ドル(約10兆5000億円)まで引き上げる案を検討中だ。前年実績の2倍を超える水準で、投資ペースが維持されれば、2027年の支出は1000億ドル(約15兆円)近くに達する可能性がある。9月には、投資資金の確保に向けて300億ドル(約4兆5000億円)規模の融資も確保した。

ByteDanceは主力AIモデル「シダンス」を軸に、AIサービス競争も本格化させている。シダンスはAlibabaの「ハッピーホース」、Kuaishouの「Kling AI」、GoogleのAI製品群などと競合する。AIサービス競争が激しさを増す中、安定した計算資源の確保は、同社にとってインフラ拡張の重要課題になっている。

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