Desiloは10月16日、科学技術情報通信部と情報通信産業振興院(NIPA)が支援するフィジカルAI関連の政府R&D事業に参画すると発表した。完全準同型暗号(FHE)を活用したエンドツーエンド暗号化と、プライバシー保護型の連合学習技術の開発を担う。
同社が参加するのは、「協業知能フィジカルAI基盤SWプラットフォーム研究開発エコシステム構築(R&D)」のうち、「協業知能システム向けフィジカルAI基盤多層セキュリティ技術開発」課題。
この課題はRaonsecureが主管し、Sensstone、Tilon、Desilo、ITstation、ソガン大学産学協力団、全北大学産学協力団が参加する。フィジカルAIの開発・運用全般を対象とするセキュリティ技術を共同開発する。
コンソーシアムでは、AIモデルの安全性検証、ロボットやAIエージェントのアイデンティティー管理と権限管理、データの機密性確保と計算の完全性保護、セキュアなAI開発環境、OTネットワークセキュリティを連携させる方針だ。これにより、フィジカルAIを安全に開発・運用できる多層セキュリティ基盤の構築を目指す。
中核となるのは、連合学習へのセキュアアグリゲーションの適用だ。連合学習は、各機関が自らの環境でデータを学習し、得られたモデル更新を集約して共同モデルに反映する手法を指す。
Desiloは、各機関のモデル更新を暗号化したままやり取りし、個別の更新を復号せずに集計する技術を開発する計画。参加機関が元データを直接共有せずに、AIモデルを共同で高度化できる環境の整備につなげる。
学習過程で製造ノウハウや個別モデルの学習情報が漏えいするリスクを抑え、工程データやモデルの重みといった企業の中核知的財産(IP)を保護することも狙う。
Desiloの代表は「製造現場でAI協業を拡大するには、企業が蓄積してきた工程データとノウハウを守りながら、共同でモデルを学習できなければならない」とコメントした。
その上で、「今回の課題を通じて、FHEベースのデータ保護と安全な連合学習技術を開発し、企業が中核データの機密性を維持したままAIを活用できる基盤を整えたい」と述べた。