写真=NVIDIAのジェンスン・フアンCEO(Shutterstock)

NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、米国の技術競争力を維持するには、海外の優秀な人材を継続的に受け入れることが欠かせないとの考えを示した。H-1Bビザを含む移民規制の強化を進めるトランプ政権とは、スタンスの違いが浮かび上がっている。

15日付のBusiness Insiderによると、台湾出身の移民であるフアン氏は「世界中の優れた人材が米国に来て、優れたアイデアを持ち込んでほしい」と発言した。さらに、米国には世界でも類を見ない規模で知的資産が集まっているとの認識を示した。

こうした発言は、移民政策を厳格化してきたトランプ政権の方針と対照的だ。政権は、高度人材の受け皿となってきたH-1Bビザを含め、移民規制を強化している。

フアン氏はその上で、移民は合法的に行われるべきだとしたうえで、海外人材の受け入れと適正な制度運用を両立させる必要があると強調した。

ホワイトハウスは、米国の労働市場に海外人材が不可欠とは限らないとの立場を崩していない。報道官は、米国内にも育成可能な人材は十分にいるとし、トランプ大統領の雇用政策はそうした潜在的な労働力の活用に重点を置いていると説明した。

トランプ大統領は昨年9月、新規のH-1B申請に10万ドルの手数料を課す大統領令に署名した。Amazon、Microsoft、Alphabet、Meta、Appleは、H-1Bビザの主要なスポンサー企業として知られる。

先週には、JDバンス副大統領と米政府関係者が記者会見で、MicrosoftとAdobeを連邦政府のビザスポンサー制度から除外すると発表した。この制度は、H-1Bビザと永住権取得に関わる枠組みとされる。

バンス氏は「Microsoftは労働者を1人解雇するたびに、外国人契約労働者1.5人で置き換えてきた」と主張した。

フアン氏の発言が注目を集めるのは、同氏が技術業界の中でもトランプ大統領に比較的近い立場とみられてきたためだ。先月にもフアン氏は、一部のAI業界幹部が別の思惑からAIへの不安をあおっていると指摘し、新たな規制強化ではなく既存ルールの適用が必要だとの見方を示していた。

実際、トランプ大統領は、制御不能なAI事故が相次いだことを受けて一部AI企業の経営陣から規制を求められたものの、最終的にはフアン氏の見方に近いアプローチを選んだとされる。

今回の発言は、AIや半導体を含む技術覇権競争において、人材確保をどう位置付けるのかを改めて示したものとして受け止められている。

トランプ大統領が10月8日のホワイトハウスの式典で科学技術勲章を授与したCEO6人のうち、米国生まれは1人だけだった。SpaceXのイーロン・マスク氏、Microsoftのサティア・ナデラ氏、Googleのセルゲイ・ブリン氏、AMDのリサ・スー氏ら、残る受章者はいずれも海外出身だ。

米国の技術産業を支える中核人材の多くが移民の背景を持つことも、今回の議論を理解するうえでの重要な背景となっている。

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