中国の電気自動車(EV)大手BYDが、マレーシアで現地組立に乗り出す。完成車輸入に依存してきた体制を見直し、現地生産基盤を確保することで、東南アジア市場での事業拡大を加速させる方針だ。
CleanTechnicaによると、BYDのマレーシア法人は15日(現地時間)、Sime Motors傘下のInokomを現地の車両組立パートナーに選定し、中国・深センの本社で基本合意書(MOU)を締結した。調印式には、BYDのリウ・シュエリャン副社長と、Sime Motorsのジェフリ・サリム・デイビッドソン最高経営責任者(CEO)が出席した。
BYDは、マレーシア・ケダ州クリムにあるInokomの工場を活用し、CKD方式で車両を生産する計画だ。CKDは部品を輸入して現地で組み立てる方式で、完成車の輸入に比べて関税や物流費を抑えやすい。
Inokomは、BMWやPorsche、現代自動車などグローバルブランドの車両組立を手掛けてきた実績を持つ。BYDにとっては、既存設備や熟練人材を活用することで、新工場建設に伴う初期投資を抑えられる利点がある。
BYDは当初、マレーシアのタンジュン・マリムに自社の組立工場を建設する計画だったが、これを保留し、現地企業との協業に方針を転換した。
BYDマレーシアのジェイコブ・マ代表は、「今回の協力は、現地市場への長期的な投資姿勢を示すものだ」と述べた。その上で、新エネルギー車とバッテリー技術をマレーシアの自動車産業につなげる考えを示した。
マレーシア政府はEV産業の育成を進めており、2030年までに新車販売に占めるEV比率を15%へ引き上げる目標を掲げている。
BYDは現在、Atto 3やSeal、Sealion 7など複数のEVを現地で販売している。一方で、足元ではマレーシア地場ブランドのProtonとの競争が激化しており、市場での存在感をどう高めるかが課題になっている。
現地組立の対象車種や生産開始時期、生産規模は明らかにしていない。現地生産によって価格競争力をどこまで高められるかが、BYDのマレーシア市場拡大のカギを握りそうだ。