TSMCは市場予想を上回る第3四半期決算を発表した。一方で、AIクラウド企業CoreWeaveの債務不安をきっかけにAI関連株へ売りが広がり、TSMC株も下落した。
15日付のSiliconANGLEによると、投資家心理を冷やしたのはCoreWeaveの財務負担を巡る警戒感だ。関連銘柄への売りが強まり、TSMCにもその影響が及んだ。
売りの発端は14日、CoreWeaveの債務規模を指摘する投稿がX(旧Twitter)に出たことだった。売りは新興クラウド企業や関連ハードウェアメーカーに広がり、Samsung ElectronicsとSK hynixは8%超下落。Intelも取引時間中に6.6%安まで売られた。
その後、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)がBloombergのインタビューで、CoreWeaveの資本コストは低下しているとの見方を示したことで、半導体株は下げ幅を一部縮小した。
TSMCの第3四半期売上高は463億6000万ドルで、市場予想の454億ドルを上回った。純利益は前年同期比69%増の235億7000万ドルとなり、市場予想も約5億ドル上回った。
成長を支えたのは引き続きAI向け需要だ。NVIDIA向けの生産を含む高性能コンピューティング(HPC)分野が、売上高全体の68%を占めた。
プロセス別では、3ナノメートルが売上高の33%を占め、主力プロセスとして定着した。TSMCは2022年の3ナノ量産開始以降、データセンター向け最適化プロセスやモバイル向け低コストプロセスなど、派生プロセスの展開を進めてきた。
米国での生産能力拡大も進んでいる。TSMCはアリゾナ州で建設を進めていた3ナノ工場「Fab 2」を完成させ、現在は製造装置の設置を進めている。量産開始は2027年第3四半期を予定する。
この工場は、総額2650億ドル規模の米国投資計画の一環。TSMCは近隣で4ナノ工場も建設しており、昨年には2ナノと1.6ナノの半導体を生産する3番目の工場にも着工した。
半導体パッケージング施設の建設も進めている。パッケージングは、グラフィックスカードの演算モジュールとメモリモジュールなどを接続する技術を指す。
AI以外の需要も底堅い。車載向け半導体需要は前年同期比22%増、スマートフォンメーカーからの受注も10%増となった。
中長期の成長戦略では、2ナノプロセスと次世代技術が軸となる。2025年第4四半期に生産を開始した2ナノは、第3四半期売上高の8%を占め、前四半期の3%から比率が上昇した。
TSMCは2ナノの生産能力を拡大するとともに、1.6ナノのA16プロセスも開発している。こうした成長戦略を支えるため、今後2年間で設備投資を大幅に増やす計画だ。