オランダの半導体製造装置大手ASMLの露光装置が、AI向け半導体需要の急拡大を背景に逼迫している。現行の生産能力計画では2027年と2028年の需要を吸収しきれず、一部顧客の間では2029~2030年分の装置確保を急ぐ動きも出ている。
Gigazineが15日付で報じたところによると、ASMLのクリストフ・フーケCEOは直近の決算発表で、AI半導体向け投資の拡大を受け、顧客の装置需要見通しの上振れが続いていると明らかにした。
同氏は、現在の生産能力計画では2027~2028年の需要をすべて満たすのは難しいとの見方も示した。顧客の一部は、2029年および2030年分の発注にも関心を寄せているという。
ASMLは、先端半導体の製造に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置を唯一供給する企業。露光装置は光を使ってシリコンウエハー上に微細な回路パターンを形成する装置で、半導体の微細化を支える中核設備だ。
AIアクセラレーターや高性能メモリの増産に伴い、EUV装置の需要は急増している。一方で、装置は構造が複雑で、組み立てや検証にも時間を要するため、短期での増産は難しい。
ASMLは2027年に、低NAのEUV装置とDUV液浸露光装置の生産能力を2026年比で約30%引き上げる計画だ。2028年についても追加増設を検討しているが、需要の伸びが想定を上回っており、既存計画を超える追加の増産策も視野に入れている。
業績面でも、AI関連投資の追い風が表れている。ASMLの2026年第3四半期の純売上高は116億6200万ユーロ、純利益は49億6000万ユーロだった。
第4四半期の売上高見通しは142億~152億ユーロ。通期売上高についても440億~450億ユーロに達する見通しを示した。
ASMLは、新たな生産施設の拡充と既存装置の性能改善を並行して進める方針だ。半導体各社の設備投資競争が続けば、露光装置の供給不足は、世界の先端半導体の増産を左右する要因となりそうだ。