Grayscaleは、ビットコインの実現ボラティリティが低下し、S&P500構成銘柄の一部を下回る水準になったとの見方を示した。流動性の拡大や機関投資家の参入、規制下での投資手段の整備を背景に市場の成熟が進み、投資判断の軸は「保有するかどうか」から「ポートフォリオにどの程度組み入れるか」へ移りつつあるという。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが10月15日(現地時間)に報じた。Grayscaleは、ビットコインの実現ボラティリティがS&P500銘柄と比べても遜色のない水準まで低下し、大型株の中にはビットコインより値動きの大きい銘柄もあると説明した。
Grayscaleでリサーチ責任者を務めるザック・パンドル氏はメモで、流動性の拡大、機関投資家の参加増加、規制されたアクセス手段の充実によって、ビットコインの価格変動は初期の極端な水準から大きく縮小したと指摘した。その結果、投資家の関心はボラティリティの有無そのものではなく、資産配分の中でどの程度の比率を割り当てるかに移っているとした。
同社が示したデータでも、この傾向が確認できる。ビットコインの過去1年間のボラティリティは43%で、過去10年平均の64%、5年前の81%を下回った。現在の水準は、S&P500構成銘柄の19%より低いという。Grayscaleは、値動きの大きい株式を保有する投資家にとって、ビットコインの価格変動は想定ほど重い負担ではない可能性があるとしている。
市場環境もボラティリティ低下を後押しした。ビットコインは8~9月の急騰を受け、ここ数年で最も強い四半期のパフォーマンスを記録し、一部アナリストの間では強気相場への回帰を指摘する声も出た。ただ、こうした上昇局面でも、ボラティリティ自体は過去に比べ低い水準にとどまった。
同様の見方は過去の調査でも示されている。K33 Researchは昨年12月公表の資料で、2025年はビットコイン史上で最もボラティリティの低い年だったと報告した。初期の市場では数カ月で80%超下落する局面も知られていたが、投資家層の拡大によって、価格が大きく振れにくい構造へ変化しつつあると分析している。
とりわけ重要な背景として挙げられるのが、2024年のビットコイン現物ETF承認後に機関資金の流入経路が広がった点だ。流動性が厚みを増し、規制下の投資ルートも拡大したことで、取引によるショックが一部緩和されたとの見方が出ている。
もっとも、ボラティリティの低下は下落リスクの消失を意味しない。ビットコインは2026年、一時的に前年10月に付けた過去最高値から50%以上下落した。その後は持ち直したものの、直近価格は8万2485ドル前後と、過去最高値の12万6080ドルをなお35%下回っている。
足元の反発要因としては、米財務省が流動性支援を目的にバイバックの運用規模を拡大するとの報道が挙げられている。8月のビットコインはこのニュースを追い風に上昇し、ドル安局面では通貨価値の目減りに備える資産購入もあらためて注目を集めた。ビットコインは依然として価格感応度の高い資産ではあるが、市場ではもはや例外的に不安定な資産としてだけ捉える見方は後退しつつある。