ジム・クレイマー氏は、インフレと金利を巡る不透明感の中でも株式の全面売却は避けるべきだと訴えた。写真=Shutterstock

米CNBCのジム・クレイマー氏は14日、不安定な相場が続いても株式を全面的に売却すべきではないと警告した。相場を離れれば、その後の急反発を取り損ねる恐れがあり、長期リターンを大きく損なう可能性があるという。

CNBCによると、クレイマー氏は市場の先行きが読みにくい局面ほど、拙速に持ち株を手放す判断は避けるべきだと指摘した。

この日のニューヨーク株式市場は、インフレ懸念を背景に下落して取引を終えた。S&P500種株価指数は前日比1.1%安、ナスダック総合指数は1.9%安、ダウ工業株30種平均は0.1%安だった。良好な企業決算も相場の支えとはならず、市場心理の重さが意識された。

クレイマー氏は、インフレや金利動向に加え、イランを巡る不透明感が重なり、市場の次の方向性を見通しにくくなっていると述べた。そのうえで、「すべてを投げ出して相場を去りたくなるかもしれない」としながらも、性急な売却には慎重であるべきだと強調した。さらに、年間リターンの相当部分を生み出す上昇局面を後から正確に捉え直すのは難しいと語った。

根拠として挙げたのがJPモルガンの過去データだ。2005年から2024年までの間にS&P500に1万ドルを投資したケースでは、上昇率の高かった10営業日を逃した投資家の最終資産は、投資を継続した場合の半分にも届かなかったという。短期的な損失回避を優先して主要な戻り局面を逃すと、長期の運用成績が大きく悪化し得るという見方だ。

9月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇で市場予想と一致した一方、前年同月比では3.7%と予想の3.6%を上回った。発表直後は米国債利回りが上昇したが、その後は低下に転じる場面もあり、市場の反応は一方向ではなかった。原油高も重なり、米連邦準備制度理事会(Fed)の追加利上げ観測への警戒感が強まった。

クレイマー氏は、イラン情勢の沈静化で原油価格が急落すれば、Fedが追加利上げに踏み切らなくてもインフレ圧力が和らぐ可能性があるとみている。ただ、企業決算も相場の明確な方向感を示せていない。Morgan Stanleyは良好な四半期決算を発表したものの株価は約3%下落し、半導体製造装置大手ASMLも堅調な実績と需要見通しを示しながら、株価は約4%下げた。

クレイマー氏は、経済指標と企業決算のいずれからも明確なシグナルが出にくく、投資判断に確信を持ちにくい局面だと指摘した。それでも、持ち株の全面売却は避けるべきだと改めて訴えた。追加下落を回避できたとしても、反発局面を逃せば、長期的にはより大きな機会損失につながりかねないためだ。

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