Bitwise Asset Managementは、人工知能(AI)を巡る強気シナリオでも、AIバブル崩壊や追加利上げ局面でも、ビットコインの長期的な上昇基調は維持されるとの見方を示した。もっとも、足元の市場では米インフレ指標の上振れを受けて利上げ観測が強まり、ビットコインは短期的に軟調な値動きとなっている。
15日付のブロックチェーンメディアCoinPostによると、Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏は週次メモで、「景気後退の可能性」と「AIバブル崩壊時のビットコインの行方」が市場の主要な論点になっていると指摘した。
ホーガン氏は、AIを巡る見通しを3つのシナリオに分けても、ビットコインの長期方向感は大きく変わらないと説明した。AIが生産性と国内総生産(GDP)を押し上げる局面では、ソフトウェア、法務、医薬品など知識集約型産業のコスト低下が進み、希少性の高い資産に資金が向かう可能性があるという。その対象として、海辺の土地や名画、金と並んでビットコインを挙げた。
一方、AIバブルが崩壊する場合でも、長期的な見方は変わらないとした。初期局面ではビットコインも他のリスク資産とともに下落する可能性を認めつつ、AI投資は米国史上最大級のインフラ投資であり、地政学的にも重要なため、最終的には政策支援が入る可能性が極めて高いと主張した。利下げやバランスシート拡大を通じて通貨供給が急増すれば、ビットコインは最終的に大きく上昇し得るとの見方だ。
金融政策の見通しについても、同氏は同様の論理を展開した。成長率3%、金利4%前後の環境が続いてもビットコインは上昇余地があるとし、追加利上げの有無にかかわらず長期強気の見方を維持した。ただ、上昇は一本調子ではなく、途中で大幅な調整を挟む可能性があるとも指摘。2020年の新型コロナウイルス禍初期に、ビットコインが数日で50%急落した後、約20倍まで上昇した例を挙げた。
長期強気シナリオとは対照的に、短期の市場はマクロ指標に敏感に反応している。米労働統計局(BLS)が14日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%上昇し、市場予想の3.6%を上回った。食品とエネルギーを除くコアCPIも2.6%上昇と、予想の2.5%を超えた。これを受け、ビットコインは約2%下落し、8万2000ドルを下回った。
金利見通しも直ちに変化した。CME GroupのFedWatchによると、10月27〜28日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率は約54%に上昇した。短期的には、金融引き締めへの警戒感がビットコイン相場の重荷となった格好だ。
市場関係者の見方は分かれている。流動性供給企業Wincenteのシニアディレクター、ポール・ハワード氏は、短期の想定レンジを8万〜8万8000ドルとし、8万ドルを割り込めば7万5000ドルまで下値余地が広がるとみる。
これに対し、21Sharesの暗号資産リサーチ部門で戦略を統括するマット・メナ氏は、先週の8万5000ドル割れ以降、8万1000〜8万2000ドルの支持帯を再び試す過程で、下落要因の相当部分はすでに織り込まれたと評価した。マクロ環境を巡る不透明感が和らげば、ビットコインは再び8万5000ドルを回復し、9万ドルを目指す可能性があるとみている。
今回のBitwiseの見方で焦点となるのは、目先の価格変動ではなく、長期的な流動性環境と資産選好の変化だ。AIが景気を押し上げる局面でも、バブル崩壊後に政策対応を促す局面でも、同社はビットコインに追い風となる環境が形成され得るとみている。市場では当面、インフレ指標と米連邦準備制度理事会(FRB)の金利判断に加え、AI投資拡大と流動性政策がビットコイン需給に及ぼす影響が注視されそうだ。