写真=Tesla

Teslaが次世代Roadsterの量産仕様を近く公開する。発表から約9年を経て姿を見せることになるが、EV市場の成長鈍化に加え、Teslaの事業の重心が自動運転やロボットへ移るなか、いま投入する意味を疑問視する声も出ている。

米ITメディアThe Vergeによると、Teslaは10月14日、米テキサス州ウェイコで次世代Roadsterを公開する予定だ。

イーロン・マスク氏はこれまで、同車について0-60mph加速を2秒未満、最高速度を250mph超と説明してきた。オプションの「SpaceXパッケージ」では冷ガススラスターを採用し、車体が一時的に浮き上がる可能性にも言及している。ただ、こうした性能や機能は量産車での検証が必要になる。

もっとも、投入時の市場環境は厳しい。米国ではEV販売の伸びが鈍り、消費者心理の不透明感もあって、自動車メーカー各社は関連投資や計画の見直しを進めている。Teslaも需要減速と市場期待の低下に直面している。

Roadsterは度重なる発売延期によって、実現を疑問視する声が強まってきた。OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマン氏など、一部予約者が注文を取り消したとされる。

性能面でも、かつてほどの差別化は容易ではない。Teslaは2021年、Model S Plaidの0-60mph加速を1.99秒とうたい、その後の第三者による試験でも近い水準の性能が確認された。

一方で、電動モーターは直線加速を高めやすい半面、重量の大きいバッテリーはコーナリング性能やサーキット走行時の俊敏性を損なう可能性があると指摘されている。

超高級電動ハイパーカー市場の失速も逆風だ。Rimac Nevera、Pininfarina Battista、Lotus Evijaはいずれも高性能を打ち出したが、販売不振や生産遅延に直面した。

BugattiのCEOを務めるメイト・リマック氏は、1900馬力超のNeveraで複数の記録を打ち立てたにもかかわらず、計画していた150台の販売に苦戦したと明らかにしている。超高級車の顧客層は加速性能だけでなく、ブランド力やエンジン音、変速の感覚といった情緒的価値も重視するとの見方だ。

競合各社も純電動スポーツカー戦略を見直している。Ferrariは初のEVを4ドアで設計し、Porscheは718 CaymanとBoxsterのEV化を複数回延期した。Lamborghiniも純EV計画を撤回し、ハイブリッド中心へと軸足を移した。

Tesla内部でも、自動車事業の重心は変わりつつある。マスク氏はRoadsterについて、人が運転することを前提に設計する最後のTesla車になると語ってきた。

TeslaはModel SとModel Xの生産を終え、ヒューマノイドロボット「Optimus」の生産拡大に注力している。また、マスク氏はSpaceXとの合併の可能性にも言及している。

もっとも、Roadsterが大量販売に至らなくても、Teslaにとって無意味とは言い切れない。Model 3とModel Yが量販モデルとして定着した現在、Roadsterは少量生産の超高額車として希少性を打ち出し、ブランドの象徴的存在となる余地がある。

ただ、Teslaの関心がAIや自動運転、宇宙関連インフラへ移るなかで、Roadsterが過去に描いた「未来像」を遅れて形にしたモデルにとどまる可能性もある。

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