Theoriは10月15日、国内金融機関を狙った侵害事案で使用痕跡が確認されたAI攻撃ツール「ARTEX」を分析した白書を公表した。動作の実態や安全装置の有効性を検証したほか、監視運用やインシデント調査で活用できる検知ルールセットもあわせて無償公開した。
同白書は、2026年9月末から発生した国内金融機関向けの侵害事案で使われたオープンソースのAIセキュリティツール「ARTEX」を中心に、足元で急増しているAIベースの攻撃ツールの動作方式や脅威の実態を整理したものだ。
分析の結果、こうしたAIツールは人手を介さずに攻撃計画を立て、実行まで進めることが確認された。攻撃の過程では、固有の識別子に加え、リクエストの順序や頻度、反復傾向といった行動パターンが痕跡として残るという。
ARTEXの安全装置を検証する実験では、基本的な脆弱性診断の過程でテストデータが実際に削除された。LLMベースの安全装置を有効にした状態でも、これを遮断できなかったとしている。
Theoriはこれらの分析結果を踏まえ、Suricata、Sigma、YARA、ModSecurityなどに対応する検知ルールセットを、同社のGitHubリポジトリで無償公開した。セキュリティ組織はこれを活用することで、攻撃者が使うAIツールの痕跡を識別し、プレイブックと連携した自動対応体制を構築できると説明している。
Theoriの代表は、「攻撃がAIの速度で進化する中、人が手作業で対処する従来型の防御体制には限界がある」とコメントした。そのうえで、「攻撃AIの痕跡を精密に検知・遮断する自動化体制に加え、サービスの可用性とデータを守れるよう、安全に統制されたAIプラットフォームを活用する必要がある。攻撃者に先んじて脆弱性を継続的に解消する常時セキュリティ体制の整備が重要だ」と強調した。