MI5のマッカラム長官は、外国勢力に関連する安保案件への対応が過去10年で約4倍に増えたと警告した。画像=ChatGPT

英国内治安局(MI5)は、ロシアやイランなど外国勢力による脅威が急速に強まっているとして警戒を呼びかけた。サイバー攻撃や破壊工作に加え、テロ組織によるAI悪用の可能性も新たなリスクとして浮上している。

MI5のケン・マッカラム長官は13日の年次安全保障演説で、外国政府絡みの安全保障案件への対応業務がこの10年で4倍に増えたと明らかにした。14日付のITmediaによると、MI5は現在、外国勢力による脅威への対応に冷戦期を上回る資源を投じているという。

マッカラム長官は、最大の脅威としてロシアを挙げた。ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛を定めた第5条の発動に至らない水準で、サイバー攻撃と破壊工作を組み合わせた「ハイブリッド戦」を展開していると指摘した。

具体例としては、ポーランドのエネルギーインフラを狙ったサイバー攻撃のほか、ドイツで爆発物を搭載したドローンを使い、貨物機の破壊を試みた事案を挙げた。

イランに関する脅威も拡大している。MI5は、直近12カ月のイラン関連案件の捜査で、英国内で50人超を逮捕したと発表した。標的もユダヤ人コミュニティーや反体制派にとどまらず、軍事施設にも広がっているという。

英国のアンディ・バーナム首相は12日、フェアフォード空軍基地への攻撃を想定した事件について、イラン革命防衛隊の指示で実行された可能性が極めて高いとの見方を示した。これに対し、イラン側は関与を否定している。

マッカラム長官はあわせて、テロ組織によるAI悪用にも警鐘を鳴らした。AIはサイバー攻撃や宣伝工作だけでなく、既存の生物兵器の改良や、新たな生物学的脅威の開発にも利用されかねないと懸念を示した。

こうした脅威に対応するため、MI5は今年、AI脅威評価センター(AITAC)を設立した。英国は、国家レベルのサイバー攻撃や物理的攻撃に加え、AIを活用した新たな脅威への情報収集と対処能力の強化を進める方針だ。

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