写真=SpaceXSI

SpaceXSIは音声AIモデル「Grok Voice 3.0」を発表し、企業向け音声エージェント市場への展開を本格化する。独立系評価機関のベンチマークでは、OpenAIやGoogleの音声モデルを上回る成績を示した。処理コストの低さや応答速度の速さも訴求する。

米技術系メディアSiliconANGLEが14日(現地時間)に報じた。AIモデル評価機関Artificial Analysisの音声対話ベンチマークで、Grok Voice 3.0は86.9点を獲得し首位となった。OpenAIの「GPT-Live-1」は83.2点、Googleの「Gemini 3.8 Live」は82.6点だった。

評価は、推論テストやタスク成功率、ブラインド方式の通話評価などに基づく。SpaceXSIは、顧客サポートや営業電話といった業務を担う企業向け音声エージェント分野で、Grok Voice 3.0を展開する方針だ。

自然な会話処理でも強みを示した。対話中の無音区間や相手の割り込みへの対応など、双方向会話の自然さを測るフルデュプレックスベンチでは97%を記録した。

もっとも、すべての評価項目で優位だったわけではない。強いなまりや背景雑音を含む顧客サポート通話を想定した「Tau-Voice」テストでは、OpenAIのモデルが74.5%となり、Grok Voice 3.0の71.6%をわずかに上回った。一方でSpaceXSIは、このテストにおける初回応答までの時間が自社モデルのほうが約40%短いと説明した。

コスト面での競争力も打ち出す。Artificial Analysisの「Big Bench Audio」によると、1タスク当たりの処理コストはGrok Voice 3.0が約2.5セントだった。GPT-Live-1は3セント、OpenAIの「GPT-Realtime-2.1」は5.5セントとしている。大規模な顧客対応に音声AIを導入する企業にとって、運用コストの抑制につながるという。

企業シナリオを想定した評価でも高い成績を示した。ServiceNowのオープンソース評価ツール「EVA-Bench」では、200超の企業シナリオ全体で正確度74%を記録した。正確度と顧客体験を合わせて測る指標でも、競合モデルを上回るスコアを得たとしている。

ServiceNowのシニアディレクター(プロダクトマネジメント)であるニティン・アガワル氏は、Grok Voice 3.0について、高い正確度に加え、自然で応答性の高い対話能力を示したと評価した。

実運用も進んでいる。Tesla車両では、Grok Voiceを使った対話が1日数百万件発生している。ドライバーは音声で予定の確認やメール返信などを行え、飲食店の予約のような作業はGrok Botを通じて進められる。Grok Botの音声モードにも新モデルを適用した。

Starlinkでは、多言語で1日約2万件の顧客対応電話をGrok Voiceで処理している。SpaceXSIによると、このうち約70%は人手を介さずに解決する。営業電話では、4件に1件が通話終了前に購入につながったという。

今回の発表は、SpaceXのAI組織再編後に投入された後続製品に当たる。SpaceXは2月にxAIを買収し、7月にAI組織名を「SpaceXAI」に変更。その後、今月初めに現在の「SpaceXSI」へ再変更した。

Grok Voice 3.0は現在、音声エージェントAPIを通じて利用できる。料金は1分当たり8セント、1時間当たり4.80ドルで、従来のGrok Voice 2.0と同水準。従来「grok-voice-latest」というモデルの別名を利用していた開発者は、追加対応なしで新バージョンへ自動的に切り替わる。

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