パトリック・ウィット氏。写真=Xより

米ホワイトハウスの暗号資産評議会で事務局長を務めてきたパトリック・ウィット氏が、派遣期間の終了に伴い退任した。ホワイトハウスも退任を確認したが、後任は明らかにしていない。クラリティ法案をはじめとする暗号資産政策の調整役を担っていた人物の離脱だけに、政権内の調整機能への影響が懸念される。

15日付でCoinPostが報じたところによると、ホワイトハウス関係者はエリナー・テレット氏に宛てた電子メールで、「ウィット氏のトランプ政権への貢献に感謝し、今後の活躍を祈る」と伝えた。ウィット氏は国防総省に所属し、評議会には臨時派遣の形で勤務していた。

今回の退任は、評議会の人員不足にさらに拍車をかけそうだ。3月には人工知能・暗号資産担当のデイビッド・サックス氏が退任し、7月には副事務局長も辞任した。以降、事実上、実務を担う人員はウィット氏だけだったとされ、後任人事が遅れれば政策調整機能の停滞は避けにくい。

ウィット氏は在任中、米国の暗号資産規制の枠組み整備を巡る主要協議に関与した。米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の間で暗号資産市場の監督権限をどう分担するかを定める「クラリティ法案」の上院協議を主導したほか、米政府による戦略的ビットコイン準備金の拡大案も検討。市場での買い付けではなく、連邦政府の既存資金の振り向けや組み替えを活用する手法を模索したとされる。

ただ、立法面での成果は限られた。クラリティ法案は下院を1年以上前に通過したものの、上院では9月15日の手続き採決を通過できなかった。争点の一つとなったのが、トランプ大統領の暗号資産保有を巡る倫理条項だ。民主党は、執行判断の主体が州ではなく司法省に置かれている点を問題視し、実効性に懸念を示していた。

また、ウィット氏はステーブルコインの報酬の扱いを巡り、銀行業界と暗号資産業界の隔たりを埋める調整にも関与した。1月までに法案審議が進まなければ、「将来の金融危機の際に民主党が懲罰的な法案を作る可能性がある」と警告したこともある。規制の空白が長引くほど、業界に不利な立法環境が形成されかねないとの問題意識を示したものだ。

ウィット氏の当初予定も、評議会の運営に影響を与えていた。本人は7月にジョージア州の陸軍州兵訓練に参加するため離任する計画だったが、訓練日程が延期された。その間に評議会の他の人員が相次いで離脱し、結果としてウィット氏が実務を支える構図が続いていた。

今後の焦点は、後任人事とホワイトハウスの組織再整備の行方だ。上院を通過できなかったクラリティ法案に加え、ステーブルコインを巡る折衷案の議論も続いている。ホワイトハウスが暗号資産政策の調整窓口を今後どのような形で維持するのかが注目される。

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