気候リスクの拡大で、保険料引き上げや補償縮小、引き受け停止が広がる可能性が指摘されている。写真=Shutterstock

気候変動に伴う山火事や洪水、暴風などの自然災害リスクが高まる中、地域によっては保険に入れない事態が広がる可能性がある。保険会社が保険料の引き上げや補償の縮小、市場からの撤退によってリスクを回避すれば、その負担が家計や地域社会に転嫁されかねないとの指摘が出ている。

CleanTechnicaが14日(現地時間)に伝えたところによると、英国と欧州の保険業界の有識者グループ「Inside Track」は、気候リスクが保険市場にとどまらず、経済全体の不安定化につながる恐れがあるとする報告書を公表した。

報告書は、保険会社の対応を大きく3つに整理した。自然災害リスクを反映した保険料の大幅な引き上げ、山火事など高リスク分野の補償縮小、そして特定地域や産業での保険引き受け停止だ。こうした動きはすでに始まっており、今後さらに加速する可能性があるとしている。

問題は、住宅や企業が保険に加入できなくなるケースが増えることだ。保険加入は住宅ローンの主要な条件の一つであるため、保険を付保できない不動産が急増すれば、不動産価値の下落や融資市場の不安定化を招く恐れがある。報告書は、その影響が2008年の世界金融危機に類似したリスクにつながる可能性もあると警告した。

保険業界に定着している短期契約中心の慣行も課題として挙げた。元Howden Group気候リスク・レジリエンス担当副議長のAnthony Hobley氏は、「保険契約の大半は1年単位で結ばれており、長期的な気候リスクを十分に織り込めていない」と指摘した。

具体例として、英国のAvivaは、洪水リスクの高まりを受け、一部の新築住宅で保険加入が難しくなっていると警告した。ドイツのAllianz SEも、気候変動によって特定地域全体が保険に入れなくなる可能性があるとの懸念を示している。

米国でも、カリフォルニア州の山火事やフロリダ州のハリケーン被害をきっかけに、保険料の引き上げや新規契約の制限が顕在化している。

Inside Trackは報告書の中で、「一部の保険会社では、災害リスク分析の担当者に対し、将来の被害見通しを低く見積もるよう圧力がかかっている」と主張した。その上で、短期的な収益を優先する対応が長期的な経済リスクを膨らませかねないとして、政府や金融当局に積極的な対応を求めた。

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