Solanaは21日、メインネットに次期大型アップグレード「Alpenglow」を導入する。まず新たな合意プロトコル「Votor」を適用し、取引の最終確定時間を従来の約12.8秒から150ミリ秒(0.15秒)へ短縮する見通しだ。DeFiやトレーディングなど、リアルタイム性が求められる分野での処理効率向上につながる可能性がある。
ブロックチェーンメディアDecryptによると、導入はEpoch 1064の開始に合わせて実施される。Solana Foundationは、このEpochが21日15時ごろ(UTC)に始まる見込みだとしている。
もっとも、アップグレードと同時に既存の合意システムが停止するわけではない。機能ゲートの有効化後も、従来のTowerBFTは約5000スロット、時間にして約18分間稼働を続ける。
その後、スロット4億5965万3,000でAlpenglow側に合意処理が引き継がれる。段階的に切り替えることで、ネットワークの安定性を確保し、移行時のトラブルを抑える狙いがある。
Alpenglowの中核は、TowerBFTを新たな合意構造へ置き換える点にある。第1段階では、バリデーター間の投票を取りまとめるプロトコル「Votor」を導入する。
TowerBFTでは、バリデーターがオンチェーン取引として投票を提出し、32スロット分の投票が積み上がって初めてブロックが最終確定していた。投票自体がブロックスペースを消費するため、確定までに時間を要する仕組みだった。
これに対しVotorは、バリデーター同士が直接メッセージをやり取りし、投票を証明書として束ねる方式を採る。これにより、1回、最大でも2回の投票ラウンドでブロックを確定できる設計とした。
具体的には、第1ラウンドで全ステークの80%超が特定ブロックを支持すれば、その時点で確定する。支持が60%以上80%未満なら第2ラウンドに進み、60%を基準に確定の可否を判断する。
Solana Foundationはこの仕組みについて、不正なステーク20%に加え、オフラインのステーク20%も許容できるよう設計したと説明している。
取引の最終確定時間は、現在の約12.8秒から150ミリ秒へ短縮される見通しだ。単純比較で約85倍の高速化となる。
Alpenglowは、Solanaネットワークの主要な性能指標にも影響を与える可能性がある。従来はバリデーターの合意投票がオンチェーン取引として記録されていたが、新構造ではこうした投票がブロックに含まれなくなるためだ。
このため、外部に表示される総取引件数や秒間処理件数(TPS)は大きく低下する可能性がある。ただし、これは実際のユーザー取引やネットワーク活動の減少を意味しない。合意に必要な投票が一般のオンチェーン取引と同じ形では集計されなくなることに伴う、統計上の変化にすぎない。
一般ユーザーの対応は不要だ。既存のウォレットやアプリケーションはそのまま利用でき、Solana Virtual Machine(SVM)や取引形式、プログラム、手数料体系も維持される。
開発者にとっては、従来の「confirmed」と「finalized」というコミットメントレベルが、実質的にほぼ同義になる点も変化となる。
一方、バリデーターのコスト構造は変わる。各投票アカウントは、家賃免除に必要な残高に加え、参加要件として0.8SOLを追加で用意する必要がある。
この費用はEpochごとに課され、焼却される。TowerBFT下でバリデーターが投票取引手数料としてEpoch当たり約1SOLを負担していた従来の仕組みを置き換える形だ。
必要な費用を支払えないバリデーターは、次のEpochから投票とブロック生成に参加できなくなる。
開発元のAnzaは13日、X(旧Twitter)で、Alpenglowが21日にメインネットベータで稼働すると公表した。約18カ月に及ぶ作業を経て、移行は1スロットで実施され、取引の最終確定時間を秒単位から約150ミリ秒へ短縮すると強調した。
Alpenglowはバリデーターの承認手続きも終えている。関連提案の「SIMD-0326」は2025年9月の投票で賛成98.27%を得て可決された。
Anzaのチーフエコノミスト、マックス・レスニック氏は5月、メインネット導入時期について第3四半期末から第4四半期初めとの見通しを示しており、今回の予定はその想定に沿う形となった。
もっとも、21日に導入されるのはAlpenglow全体ではなく、その一部に当たるVotorのみだ。バリデーター間のブロックデータ伝播を担う既存システム「Turbine」を置き換える「Rotor」は後日導入する予定で、時期はまだ明らかになっていない。
Alpenglowは単に処理量の拡大を狙うものではなく、取引が不可逆となるまでの時間短縮に主眼を置く。Votorの導入で確定速度がどこまで改善するのかに加え、Rotorまで実装された段階でネットワーク全体の性能がどこまで変わるのかが焦点となる。