NASAの金星探査ミッション。写真=NASA

米航空宇宙局(NASA)の次世代金星探査2計画が、打ち上げ時期の具体化を受けて改めて動き出した。予算圧力で延期や中止の懸念も浮上していたが、2030年代前半には米国と欧州に民間企業も加わり、金星探査が活発化する見通しだ。

米ITメディアArs Technicaが10月14日付で報じたところによると、金星大気探査機「DAVINCI」は、当初計画より約1年前倒しとなる2030年12月の打ち上げを目標とする。金星周回機「VERITAS」も、2032年11月の打ち上げに向けて必要な予算を確保したという。

DAVINCIは、金星大気に降下プローブを投下し、パラシュートで降下させながら観測するミッションだ。プローブは降下中、1982年以降で初めてとなる金星表面の直接画像を撮影する予定だ。

同ミッションでは、2032年初頭に金星へ接近通過した後、同年10月3日に大気突入プローブを分離する。母船はその後、再び金星に戻って軌道投入できるよう、燃料を確保しやすい飛行経路を取るとしている。

NASAゴダード宇宙飛行センターの惑星科学者で、DAVINCIの主任研究者を務めるジム・ガービン氏は、最近開かれた金星探査分析グループ(VEXAG)の会合で、打ち上げ時期を当初計画から54週間前倒ししたと明らかにした。

DAVINCIチームは最近、プローブに搭載するカメラや観測機器が大気降下中にデータを取得する仕組みを試験した。高温環境試験では、断熱構造内の機器温度を摂氏30度以下に維持し、要求条件を満たしたという。

降下プローブは約1時間かけて大気中を通過する。観測データは、地平線の向こうに隠れて視界から外れる前に、母船経由で地球へ送信する必要がある。

一方のVERITASは、1989年打ち上げ、1994年に任務を終えた金星探査機「Magellan」以来となる本格的な表面観測ミッションだ。Magellanは金星地形を初めて本格的に地図化したが、観測解像度には限界があった。

VERITASは、より高精度なレーダーで表面地図を更新し、活動中の火山地域を重点観測する計画。チームは人員を増強し、打ち上げ準備を急いでいるという。

同機は2033年半ばに金星へ到着した後、大気を利用して減速し、本格観測に入る見通しだ。

金星探査計画は一時、予算面の圧力で大きく揺れた。NASAはVERITASの中止を検討したほか、欧州宇宙機関(ESA)の金星周回機「Envision」に提供する予定だったレーダー機器への支援も打ち切った。

これを受け、ESAは独自開発のレーダーを用いる方針に切り替えた。予算制約の下で容易ではない判断だったとしている。

ESAは2032年のEnvision打ち上げを進めている。民間のRocket Labも、早ければ2027年末に金星上層雲で有機物質の痕跡を探る探査プローブを打ち上げる計画だ。

金星は地球と大きさが近い一方、探査環境は極めて厳しい。大気の大半を二酸化炭素が占め、硫酸の雲に覆われ、表面温度は摂氏467度に達する。地表地形も火星ほど精密には把握されておらず、研究者は金星で暴走温室効果が起きた原因もなお明確に解明できていない。

DAVINCIとVERITASが計画通り進めば、金星の大気と表面の理解を深めるうえで重要な観測データが得られると期待されている。

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