英国高等法院は、中国で起きた大規模な投資詐欺事件に絡み、ロンドン警視庁が押収した約6万1000BTCの権利関係を巡る判断に中国法を適用すると決めた。被害者が資産の返還を受けるには、中国法に基づいて財産権を立証する必要があり、回収手続きは一段と複雑化する見通しだ。
暗号資産メディアのCoinPostが14日付で報じたところによると、同法院は12日、詐欺事件の主犯格とされるズミン・チェン(Zhimin Qian)が保有していたビットコインを巡る被害者の権利関係について、中国法に基づいて判断すべきだとする決定を示した。
チェンは2014年から2017年にかけて、中国で12万8000件超の投資契約を通じて約402億人民元を集め、その一部でビットコインを購入したとされる。その後、2017年に英国へ逃れ、不動産取得などを通じてマネーロンダリングを図ったとされる。
ロンドン警視庁は2018年の捜索で、ビットコインにアクセス可能な端末4台を押収した。チェンは昨年、資金洗浄罪を認め、懲役11年8カ月の判決を受けた。
今回の判断は、刑事裁判とは別に進む民事の資産回収手続きの中で示されたものだ。現在、約1万6000人の中国人被害者が英国での法的手続きに加わっている。
被害者側は、英国の犯罪収益法に基づいて押収資産の所有権を主張した。一方、マーク・ターナー判事は、投資契約の締結や資金の払い込み、詐欺被害の発生など、主要な事実関係が中国で生じたことを踏まえ、中国法の適用が妥当だと判断した。
もっとも、押収されたビットコインの最終的な帰属先が確定したわけではない。今後の審理では、被害者側は被害金の返還を求める債権にとどまらず、ビットコイン自体に対する財産上の権利を立証する必要がある。
ビットコイン価格が当初の購入時点から大きく上昇していることから、値上がり益の帰属も争点として浮上している。
押収資産の相当部分が英政府に帰属する可能性も取り沙汰されるなか、被害者側の代理人を務めるFieldfisherは、今回の決定を不服として控訴する方針だ。