Standard CharteredはUAEで専門投資家向けに、銀行口座からビットコインとイーサリアムを売買できるサービスを開始した。写真=Shutterstock

Standard Charteredは、アラブ首長国連邦(UAE)で富裕層を含む専門投資家向けに、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物売買サービスを開始した。顧客は既存の銀行口座を通じて売買でき、資産の保管と決済も同行が担う。

同サービスは、ドバイ仮想資産規制庁(VARA)の認可を取得した上で提供する。まずは専門投資家資格を持つ顧客を対象とする。

利用者は外部ウォレットや外部の取引プラットフォームを使わずに、銀行口座からBTCとETHを直接売買できる。取引、保管、決済までを同行の管理下で一体的に提供する仕組みで、外部ウォレット利用に伴うリスクの低減につなげる。

サービスは、Standard Charteredの資産運用・リテール金融部門と企業・投資銀行部門が共同で構築した。同行のベンチャー投資部門SC Venturesが出資するデジタル資産取引会社Zodia Marketsも協力企業として参加している。

Standard Charteredは今回のサービスを、同行として初のグローバルな取り組みと位置付け、今後は他市場への展開も視野に入れる。ただ、具体的な時期は明らかにしていない。同行はまた、UAEで国際銀行が暗号資産取引サービスを提供する初の事例だと強調した。

Standard Charteredで資産運用ソリューション、リテール商品、データ・分析を統括するSamir Subberwal氏は、デジタル資産への顧客関心が高まる中、今回の提供開始はデジタル資産を中核的な資産運用商品群に組み込むうえで重要な節目になるとコメントした。

同氏は、顧客が求めているのは単なる取引手段ではなく、規制下にある金融機関を通じて投資することによる安全性と信頼性だと説明した。Standard Chartered UAE・中東・パキスタンのCEOを務めるRola Abu Manneh氏は、UAEは整備された規制環境を備えた市場であり、Standard Charteredにとって4つあるグローバル資産運用拠点の1つだと述べた。

今回の投入は、これまで機関投資家中心だったStandard Charteredの暗号資産事業が、富裕層顧客にも広がったことを意味する。同行は2025年7月、英国拠点を通じて機関投資家向けにBTCとETHの現物取引を提供していた。

さらに先月には、ドバイ国際金融センター(DIFC)内の法人を通じて、機関投資家向け取引サービスをUAEにも拡大した。この法人はVARAではなく、ドバイ金融サービス庁(DFSA)の監督を受ける。

カストディ事業の拡大も進めている。Standard Charteredは2024年9月にUAEで暗号資産カストディサービスを開始し、その数カ月後にはルクセンブルク法人を通じて欧州連合(EU)でも提供を始めた。

資産運用顧客に対してはこれまでも、既存の取引基盤を通じた暗号資産ETFやストラクチャード商品、暗号資産価格に連動する店頭デリバティブなど、間接的な投資手段を提供してきた。これに対し今回のサービスでは、価格連動商品ではなく、顧客がBTCとETHを実際に保有する。保管は同行が担う点が特徴だ。

なお、Standard Charteredは暗号資産市場の先行きに対して強気の見方を維持している。デジタル資産リサーチを統括するGeoff Kendrick氏は、6月にビットコイン価格が5万9000ドル水準まで下落した局面でも、「暗号資産の冬」は終わったとの見方を示していた。

同行は年末のビットコイン目標価格について、10万ドルを据え置いている。

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