ビットコインはすでに通貨として機能しており、長期的には金を上回る可能性がある――。『Bitcoin Standard』の著者サイフェディン・アモウス氏が、こうした見解を示した。保有そのものが通貨利用に当たるとしたうえで、成熟に伴ってボラティリティが低下すれば、時価総額でも金を超え得ると主張している。
Cointelegraphが14日(現地時間)に報じたところによると、アモウス氏は、ビットコインが決済手段として広く使われていないことをもって、通貨として失敗しているとみなす見方に反論した。
論点となっているのは、現在のビットコインの利用実態をどう評価するかだ。アモウス氏は、ビットコインが日常決済で広く使われていないとしても、それだけで通貨性を否定することはできないと指摘した。
同氏は「ビットコインを保有すること自体が、ビットコインを通貨として使うことだ」と述べ、「決済手段として広範に利用されていないからといって、通貨化が進んでいない証拠にはならない」との立場を示した。
さらに、ビットコインが成熟し、金よりボラティリティが低い水準に落ち着いたうえで、時価総額でも金を上回る段階に達すれば、決済手段としての機能も強まると主張した。交換媒介としての役割を妨げているのは価格変動の大きさだが、この制約は時間とともに薄れるという見方だ。
今回の発言は、ローレンス・H・ホワイト教授の批判を意識したものとみられる。ホワイト氏は著書『Better Money: Gold, Fiat, or Bitcoin?』で、ビットコインは供給量が固定されているため需要変動に柔軟に対応できず、その結果として価格変動が大きくなりすぎると指摘していた。
またホワイト氏は、こうした特性を背景に、取引面ではステーブルコインがビットコインを上回っていると主張した。
両者の対立点は、ビットコインの通貨機能をどこに見いだすかにある。ホワイト氏は安定した決済手段としての性格を重視する一方、アモウス氏は、価値保存手段として保有されること自体が通貨的な利用だと捉えている。
この論争を通じて、ビットコインの固定供給という仕組みを弱点とみるのか、それとも長期的な希少性を支える強みとみるのかという解釈の違いも、改めて浮き彫りになった。
もっとも、市場規模ではなお金との差は大きい。ビットコインの時価総額は現在約1兆6000億ドルで、金は約29兆ドルとされる。
ビットコインが世界の主要資産として金に並ぶには、現状から少なくとも18倍超に膨らむ必要がある。
一方で、業界内ではビットコインが長期的に金と競合し得るとの見方が根強い。Bitwiseの欧州リサーチ責任者アンドレ・ドラゴシ氏は2025年5月、ビットコイン価格が2029年までに100万ドルに達する可能性があるとの社内見通しを示した。実現すれば、ビットコインの時価総額は金に近い水準になるとしている。
Blockstreamの最高経営責任者(CEO)アダム・バック氏も2025年4月、世界的な金融不安定と法定通貨のインフレ進行を背景に、ビットコインが金のヘッジ需要と競合し始めるとの見方を示していた。
今回の論争は、ビットコインが決済手段として定着する前の段階でも、価値保存手段として通貨性を強めているのか、またその過程でボラティリティが実際に低下していくのかを巡る議論として広がっている。