Teslaはカナダで「Model 3 Premium」の受注を停止した。理由について同社は、中国製電気自動車(EV)の輸入枠を使い切ったためだと説明している。ただ、カナダ政府の集計では年間枠の約67%が未使用となっており、説明との食い違いが浮き彫りになっている。
EV専門メディアのElectrekが13日に報じたところによると、Teslaはカナダの受注ページから、Model 3 Premiumの後輪駆動(RWD)と四輪駆動(AWD)を外した。現在注文できるのは、Model 3のパフォーマンスAWDモデルのみとなっている。
Teslaは、需要増で輸入枠を使い切ったと説明した。カナダ政府が追加枠を割り当てれば、2027年3月に受注を再開する見通しも示した。
受注を停止したModel 3 Premiumは、中国・上海工場で生産している。Teslaは5月、このモデルのRWD版を3万9490カナダドルで発売した。
これまでカナダで購入できた最も安価なModel 3は、米フリーモント工場製のロングレンジAWDモデルで、価格は7万9990カナダドルだった。米国製車両にはカナダの25%の報復関税が課されている。Teslaは3月、カナダに残っていた米国製Model 3の在庫販売も終えた。
一方、カナダ政府の公開資料はTeslaの説明と整合しない。カナダは今年1月、中国製EVに対する関税を100%から6.1%に引き下げる一方、年間4万9000台の輸入枠を設定した。枠の適用期間は毎年3月から翌年2月までで、輸入許可は原則として先着順で発給される。
カナダの輸出入統制システムによる10月9日時点の集計では、3月1日以降に使用された許可は1万5931件だった。単純計算では、年間枠4万9000件のうち3万3069件が残っていることになる。
今期の半期枠は、基本枠2万4500台に前半期の未使用分8897台を加えた3万3397台となっている。
輸入統計にも変化がみられる。輸入価格が3万5000カナダドル以下のEVは、6月の465台から7月に4743台、8月に2597台へと増えた後、9月は7台まで急減した。10月の輸入量は最新集計で0台だった。なお、この価格帯区分は販売価格ではなく輸入価格ベースで算定される。
Teslaには別の上限が適用されている可能性もある。カナダのGlobal Affairsは、適格な申請者の間で輸入枠を公平に配分するため、許可申請と発給状況を点検していると説明。新規参入を含む完成車メーカー向けに、一部を別枠で配分できるとも明らかにしている。ただし、企業ごとの配分量や時期は公表していない。
Teslaの受注残が、同社が見込む輸入許可量をすでに上回っている可能性もある。いずれにせよ、3万9490カナダドルのModel 3を購入したい消費者は、少なくとも2027年春までは待つ必要がありそうだ。
今回の事態は、年4万9000台という輸入枠の規模が実需に見合っているのかという議論にもつながりそうだ。カナダはこの枠を2030年までに7万台へ拡大する計画だが、低価格の中国製EVへの需要が増すなか、現行制度が市場実態を十分に反映しているかが問われる可能性がある。