CBDCのプライバシー保護が新たな論点となっている。写真=Shutterstock

国際決済銀行(BIS)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)でも現金に近い水準のプライバシー保護は技術的に実現可能だとする見方を示した。一方で、金融機関が侵害を受けた際の情報漏えいリスクなど課題はなお残っており、試作システムをそのまま実運用に移せる段階ではないとした。

Cointelegraphが13日(現地時間)に報じたところによると、BISは同日公表した「Project Aurum」第2段階報告書で、プライバシー保護型のデジタル現金に関する試作システムの技術的な可能性と限界を示した。

今回の研究は、CBDCにおけるプライバシー保護技術の検証に焦点を当てたものだ。BISは既存のAurumコードベースを活用し、完全な匿名性と取引の全面的な透明性の間でバランスを取る仕組みを試作した。その結果、「現金のようなプライバシー」を実現し得る可能性は確認できたものの、現時点の技術構成は実運用に耐える水準には達していないと結論づけた。

最大の論点は、システム侵害時に顧客情報がどこまで露出するかという点だ。BISによると、ある銀行が攻撃を受けた場合、その銀行が保有する顧客情報は流出する可能性がある。ただ、取引相手の銀行に属する顧客の身元情報までは明らかにならないよう設計したという。

また、検証主体が攻撃を受けたとしても、それだけで最終利用者の情報が直ちに漏れるわけではない。被害範囲を限定する仕組みは組み込んだ一方で、顧客情報を保有する金融機関自体のセキュリティリスクを解消したわけではないと説明している。

こうした制約は、CBDCを巡って従来から指摘されてきた監視への懸念とも重なる。批判的な立場からは、中央銀行や政府が決済データを追跡し、取引を統制できるようになる点が問題視されてきた。

BISは今回、プライバシー保護を組み込んだ設計が可能であることは示したものの、試作段階で得られた成果がそのまま商用化の準備完了を意味するものではないと強調した。

CBDCの統制機能を巡る論争は、実際の開発現場でも表面化している。ブラジル中央銀行が2023年にCBDCの実証事業に関するソースコードを公開した際には、利用者のウォレット資金を凍結したり、残高を減らしたりできる機能が含まれているとの指摘が上がった。

この事例は、デジタル通貨を巡ってはプライバシー保護だけでなく、運営主体にどこまで権限を持たせるのか、その行使範囲をどう制御するのかも重要な論点になることを示している。

米国でもCBDC導入への反対論は根強い。ドナルド・トランプ米大統領は今年1月、金融安定性とプライバシーへの懸念を理由に、連邦機関によるCBDC発行を禁じた。

議会でも、共和党を中心にCBDCを恒久的に禁止すべきだとの主張が出ている。

今回の報告書は、CBDCの技術的な実現可能性と、実運用に向けた準備の間にはなお隔たりがあることを改めて示した。現金に近いプライバシーを設計できたとしても、利用者情報を保有する金融機関のセキュリティと、システム全体の安定性を同時に確保する必要があるためだ。

CBDCの導入を巡る今後の議論では、決済効率の向上だけでなく、情報漏えいリスクをどう抑えるか、さらに運営主体の権限をどのように制御するかが引き続き主要な課題となる。

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