Cardano創業者のチャールズ・ホスキンソン氏は、Midnight Cityで数カ月以内にAIエージェントによる暗号資産取引機能を導入する方針を明らかにした。売買の執行はAIが担う一方、取引戦略や権限の設定は利用者が管理する仕組みを想定している。
ブロックチェーンメディアThe Crypto Basicが10月13日(現地時間)に報じた。Midnight Cityでは、利用者がウォレットに資金を用意し、AIエージェントに取引戦略を設定すると、複数のブロックチェーンやオフチェーン基盤をまたいで自動的に売買を実行する機能を開発しているという。
設計の中核にあるのは、売買の実行をAIに委ねながらも、コントロール権限は利用者側に残す点だ。利用者は適用する戦略や、エージェントの動作方法を自ら選べるとしている。
Midnightは自動売買機能に加え、AIエージェントの運用を支える周辺基盤の整備も進める。開発中の本人確認システム「Midnight Passport」は、2026年末の初回リリースを目標としている。
その後は2027年上半期にかけ、約3週間ごとに機能を追加する計画だ。各AIエージェントには、利用者に紐付いたIDを持たせる構想も示した。
さらに、Midnightは「Open Wallet Standard」を統合し、AIエージェントに付与する取引権限を利用者が細かく設定できるようにする。利用者が権限範囲を定めた上で、エージェントに取引戦略へのアクセスや、複数のブロックチェーンおよびオフチェーンシステムでの売買執行を認める仕組みになる見通しだ。
取引戦略を共有するマーケットプレイスの構築も予定する。利用者が売買のタイミングを都度指定するのではなく、収益創出などの大まかな目標を与えると、エージェントが適切な戦略を探したり、他のエージェントと連携したりしながら目標達成を目指す構想だ。
ホスキンソン氏は、こうしたエージェントが他の開発者の戦略を学習し、性能を高めていけるとの見方も示した。
もっとも、具体的な提供時期や運用条件はまだ公表されていない。AIによる自動売買システムはなお開発段階にあり、実用化に向けては機能実装に加え、利用者資金に対するエージェントの管理権限をどこまで認めるかなど、詰めるべき課題が残る。
Midnightの構想は、暗号資産取引にとどまらない。ホスキンソン氏は、プライバシー重視の技術がCardanoの目標を支える可能性があるとして、分散型金融の構想「RealFi」にも言及した。
従来の銀行サービスにアクセスしにくい人々へ、デジタルウォレットとIDを提供し、それを通じて少額融資などブロックチェーン基盤の金融サービスを利用できるようにする考えだ。
インターネット接続や電力供給が不安定な地域での活用も想定する。ホスキンソン氏は、そうした環境でもプライバシー重視の技術が安全な取引や本人確認を支えられるとみている。
Midnightは、AIによる自動売買を起点に、デジタルIDやプライバシー基盤の金融サービスまで包含するインフラを目指している。今後の焦点は、この構想を実サービスへ落とし込む過程で、セキュリティ対策や利用者の承認プロセスをどこまで具体化できるかにある。