米国の公共EV急速充電インフラが8万ポートを突破した。2026年第3四半期(7〜9月)はテスラが最も多くの充電ポートを追加した一方、Superchargerの料金はこの1年で最大15%上昇し、利用者負担は重くなっている。
EVメディアのElectrekが13日(現地時間)に伝えたところによると、EV充電データプラットフォームのFarronがまとめた2026年第3四半期の米国急速充電市場レポートでは、米国内の公共急速充電ポート数は7〜9月に4106増加した。充電ステーションは664カ所増え、総数は1万4614拠点、8万964ポートとなった。
もっとも、インフラ拡大のペースは鈍っている。第2四半期の増設数は4618ポートで、第3四半期を上回った。9月までの累計増設ポート数は前年同期比で約9%減、新規ステーション開設数も約20%減少した。
事業者別では、テスラが第3四半期に1287ポートを追加し、増設数で首位だった。これにIonnaの378ポート、Walmartの344ポートが続いた。なお、Supercharger for Businessプログラムで設置された124ポートは別枠で計上された。
Ionnaの増設分には、既存のCircle K充電拠点の転換が含まれる。Ionnaは四半期中にCircle Kの44拠点を切り替えた。Farronは、他の運営事業者が既存設備を入れ替えて引き継いだケースも、新規インフラとして集計したとしている。
拠点規模でもテスラが先行した。新規拠点1カ所当たりの平均設置数は13.1ポートで、24ポート以上の大規模ステーションも11カ所開設した。最大の新規拠点はフロリダ州フォートローダーデールに設けた48ポート規模のステーションだった。
充電設備の高出力化も進んでいる。第3四半期に新設された急速充電ポートの73%は250kW以上で、前年同期の60%から上昇した。テスラを除く充電ネットワークでは、400kW超のポート比率が35%となり、前年同期の約10%から大きく伸びた。
利用量も増加した。第3四半期の米国の急速充電セッション数は5040万件と、前年同期比26%増加。7月には月間過去最多の1760万件を記録した。一方、全国平均の稼働率は15.9%で、第2四半期の15.8%とほぼ同水準だった。
地域差も大きい。主要30市場の平均稼働率は21.1%だったのに対し、それ以外の地域は11%にとどまった。ロサンゼルスの稼働率は31.8%と全国平均の約2倍に達した。充電ネットワークの信頼度指標は全国平均で93.9ポイントとなり、調査対象の52州・準州のうち50地域が90ポイント以上だった。90ポイントを下回ったのはオクラホマ州とバーモント州のみだった。
料金面ではテスラの上昇が目立った。第3四半期の米国における急速充電の平均料金は1kWh当たり54セント(約81円)で、前年同期比2.7%上昇した。Farronは、全体平均の上昇要因としてテスラの値上げを挙げている。
テスラのSuperchargerでは、非会員向けの平均料金が1kWh当たり56.9セント(約85円)となり、1年前から15%上昇した。会員料金も9%上がり、39.6セント(約59円)だった。これに対し、テスラ以外の充電ネットワークの平均料金は5四半期連続で1kWh当たり53.3セント前後(約80円)を維持した。
時間帯別料金制による差も大きい。時間帯別料金を導入している充電ステーションでは、平均ピーク料金が1kWh当たり63.7セント(約96円)、オフピークは43.8セント(約66円)だった。同じ充電量でも、利用時間によって1kWh当たり約20セント(約30円)の差が生じる計算になる。
一方で、新規ステーションの立地が都市部に偏っている点は課題として残る。第3四半期に開設された新規充電ステーションの90%は都市市場に集中し、農村部に追加された拠点は664カ所のうち68カ所にとどまった。急速充電インフラの規模拡大と高出力化は進んでいるものの、都市周辺部や農村部での充電アクセス改善に向けた追加整備が求められている。