アルトコイン(写真=Shutterstock)

米利上げ後の暗号資産市場では、アルトコインの上昇率がビットコインを上回った。Binance Researchは、実質金利の上昇局面で株式と暗号資産の双方において資金流入が一部銘柄・セクターに集中したと分析した。今後の相場材料としては、米9月の消費者物価指数(CPI)や米大手銀行の決算、ビットコイン現物ETFへの資金流入の継続が注目される。

13日付のCoinpostによると、Binance Researchは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降の市場動向を実質金利の観点から検証し、上昇の裾野は広がらず、一部の銘柄やセクターが相場をけん引したと指摘した。

8月31日以降、米10年国債利回りは47bp上昇し、このうち43bpは実質金利の上昇によるものだった。10年実質金利は10月5日に2.95%まで上昇し、2008年11月以来の高水準を付けた。足元では2.87%前後で推移している。

暗号資産市場では、主要銘柄とアルトコインの騰落率格差が際立った。利上げ後、ビットコインは9.3%、イーサリアムは2.7%上昇した一方、主要銘柄を除く194銘柄の上昇率中央値は21%だった。セクター別ではレイヤー2関連トークンが32%上昇と最も強く、RWA関連トークンとAI関連トークンがそれぞれ29%上昇した。これに対し、ミームコインと決済関連トークンの上昇率はそれぞれ5%にとどまった。

もっとも、直近1週間では暗号資産全体の地合いは弱かった。ビットコインは3.3%下落して約8万3000ドルとなり、イーサリアムも7.0%下落。アルトコイン指数も3.6%下げた。

株式市場でも同様の傾向がみられた。9月16日の利上げ以降、S&P500指数は3.3%上昇した一方、ラッセル2000指数と金融株は下落した。S&P500均等加重指数はほぼ横ばいにとどまり、指数上昇は10.6%上昇した半導体セクターが主導した。

Binanceは銀行株の軟調について、業績悪化よりもバリュエーション調整の影響が大きかったとみている。その上で、13〜14日に予定される米大手銀行の決算が今後の株価を占う材料になるとした。

資金フロー面でも、リスク資産の中で選別色が強まった。Binance内の株式関連商品には10月5〜9日に1億6900万ドルが純流入した。内訳はテクノロジー株が7900万ドル、金融サービスが3200万ドル、ヘルスケアが2600万ドルで、この3分野で流入額全体の約81%を占めた。

中でも半導体セクターへの資金集中が目立った。半導体株ETF「SOXX」は1週間で5.0%下落したが、同期間の同セクターへの純流入額は前週の約4倍となる7300万ドルに拡大した。Binanceは、株価下落局面でもレバレッジ商品や個別銘柄に資金が流入した点を踏まえ、今回の動きはモメンタム追随というより押し目買いに近いと分析した。

一方、暗号資産関連株への資金流入は、ビットコインの値動きに連動して鈍化した。Circleへの流入額は前週の3600万ドルから1500万ドルに減少した。暗号資産関連株が依然として現物価格の方向性に敏感であることを示しているという。

今後の主な変数としては、米9月CPIと、利上げ後初めて公表される米大手銀行の決算が挙がる。これらが市場予想を上回れば、米連邦準備制度理事会(Fed)による10月の追加利上げ観測が強まる可能性がある。報告書公表時点で、10月利上げの織り込みは約20%だった。

逆にCPIが予想を下回った場合、リスク資産は政策金利そのものよりも米10年国債利回りの動きに敏感に反応する可能性がある。加えて、Fed高官の発言が制限されるブラックアウト期間に入ったため、次の手掛かりとして10月21日に予定される米20年国債入札の需要動向にも注目が集まる。

ビットコイン市場では、現物ETFへの資金流入が続くかどうかが最大の焦点だ。Binance Researchは、CPI公表後に金利変動が生じたとしても、現物ETFへの資金流入が維持されるかが相場の次の方向性を左右するとみている。暗号資産市場は当面、短期的な価格変動そのものより、実質金利やETF資金フロー、米金融機関の決算に一段と敏感に反応する可能性が高い。

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