半導体株が大きく調整する中でも、米CNBCのジム・クレイマー氏は、セクター全体を一律に弱気視する局面ではないとの見方を示した。直近の株安はマクロ要因による影響が大きく、半導体企業の実需まで崩れたとは言えないとみている。
CNBCによると、クレイマー氏は最近の売りについて、半導体各社の実際の需要環境をそのまま反映したものではないと指摘した。
半導体セクターは直近6営業日続落した。VanEck Semiconductor ETFはこの間に7.2%下落した。クレイマー氏は、原油高と金利上昇が売り圧力を長引かせる可能性があるとみる一方で、市場では個別企業のファンダメンタルズよりも、セクター全体をまとめて売買する動きが強まっていると分析した。その結果、今年の半導体相場を支えてきた需要要因が見えにくくなっているという。
同氏が根拠の一つに挙げたのが、消費者向け機器の進化だ。Appleの売り場を訪れ、パーソナライズされたSiriや高度化したスマートホーム機能を備えた製品を確認したという。こうした製品ほど、より高い演算能力と大容量メモリを必要とし、半導体メーカーに新たな需要をもたらすと説明した。
半導体株の下落に耐えられないからといって、慌てて持ち高を手放すべきではないとも述べた。「ショールームに行って、チップがどこに使われているかを見るべきだ」とし、半導体指数の値動きだけでなく、実際の製品動向に目を向ける必要があると語った。
個別銘柄ではMicronを代表例として取り上げた。クレイマー氏は、Micronについて、AIインフラ拡大の主要な恩恵を受ける企業の一つであり、メモリ需要は供給を大きく上回っていると評価した。
とりわけ重視したのが長期契約だ。Micronは2030年までの売上高のおよそ35%をカバーする26件の長期顧客契約を確保しており、2031年分の数量交渉も進んでいるという。これらは顧客に履行義務が生じる契約で、Micronの将来売上高の見通しを高める材料になるとした。クレイマー氏は「Micronにこうした契約がなければ懸念していただろう」と述べた。
こうした需要はメモリに限られないとの見方も示した。IntelとAMDにも言及し、両社は事実上、ほぼあらゆる機器の中核部品であるCPUを供給していると指摘した。半導体需要は特定テーマや一部銘柄に偏ったものではなく、幅広い機器の普及そのものと結び付いているというのが同氏の見立てだ。
もっとも、半導体株がすでに大きく上昇した後の調整局面にある以上、なお下値余地がある可能性は認めた。「これらの銘柄は大きく上がってきた。急反落を予想するのは合理的だ」とした上で、実機の普及や用途拡大を見れば、Micron、Intel、AMDの株価が上昇してきた理由も理解できると付け加えた。
また、レバレッジを活用するヘッジファンド資金が、一部銘柄の上昇を過度に押し上げた面にも触れた。ただし、ここまでの上昇を投機的な需給だけで説明するのは適切ではないとし、「かなりの部分は純粋な需要によるものだ」と述べた。
今回の半導体株安は、原油高や金利上昇といったマクロ要因に、セクター全体を一括で売る地合いが重なった側面が大きい。もっとも、企業ごとの業績基盤や長期需要まで同時に崩れたとみるのは難しい。市場の関心は当面、原油と金利の動向に加え、AI投資の拡大や消費者向け機器の高機能化が半導体需要をどこまで支え続けるかに向かいそうだ。