暗号資産市場が全般に軟調となる中、AI関連トークンへの資金シフトが進み、NEAR Protocol(NEAR)がその受け皿として存在感を高めている。マーケットメイク企業のWintermuteは、こうした市場動向をまとめた最新レポートで、NEARがAIテーマの中心銘柄として浮上したと分析した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが13日(現地時間)に報じた。
市場の重荷となっているのは、米連邦準備制度理事会(Fed)のタカ派姿勢だ。Fedの議事要旨では、多くの委員が年末までの追加利上げを見込んでいることが示され、米10年国債利回りは5.24%まで上昇した。
株式市場では企業業績への期待を背景に、S&P500種株価指数が週間で1.2%上昇し、過去最高値を更新した。一方、暗号資産市場では資金流出圧力が強まった。
ビットコイン現物ETFからは週間で6億7900万ドルが流出した。6月以降では最大の流出額という。
イーサリアム現物ETFも5億4200万ドルの純流出となった。CoinGlassによると、清算総額は11億9000万ドルに達し、このうち10億6000万ドルをロングポジションが占めた。
現物価格もさえない。ビットコインは過去7日間で約2.4%下落し、8万3000ドル台まで下げた。イーサリアムも約7%下落し、2500ドル台で推移している。
さらに、イーサリアム財団の研究員が利用者に対し、新規アドレスへの資金移動を促したことも、イーサリアム相場の重しになったとみられている。
下げはアルトコイン全体にも広がった。アルトコイン市場の中央値ベースの下落率は3.7%で、足元まで堅調だったUniswap(UNI)は15.8%下落した。時価総額上位66プロジェクトのうち、上昇したのは11銘柄にとどまった。
もっとも、投資家資金が全面的に現金化へ向かったわけではない。Wintermuteは、従来型の分散型金融(DeFi)プラットフォームから流出した資金が、AI技術と結び付いたトークンへ移ったと分析し、その中心にNEARがあったと指摘した。
NEARネットワークは、セキュリティ強化策としてポスト量子暗号のデジタル署名に対応した。市場全体が下落する局面でNEARを空売りしていた資金は、その後の反発局面でショートスクイーズに巻き込まれたという。空売りポジションの買い戻しが、上昇幅を一段と広げた可能性がある。
一方、Wintermuteはアルトコイン相場の反発局面での追随買いには慎重な姿勢を示した。米国債利回りが落ち着き、ビットコイン現物ETFが純流入に転じるまでは、アルトコイン市場にリスクが残るとの見方だ。
市場では次の材料として、米消費者物価指数(CPI)と大手テック企業の決算発表に注目が集まっている。AIテーマが今後も市場の資金を呼び込み続けるかどうかは、こうした経済指標や企業業績の内容に左右されそうだ。