Mind Roboticsは、Teslaの「Model 3」開発やFordの電気自動車事業を率いたダグ・フィールド氏を社長に起用した。RivianのRJ・スカリンジ最高経営責任者(CEO)が分社化した産業用ロボットのスタートアップで、同氏は今後、スカリンジ氏とともに製品、エンジニアリング、オペレーションを統括する。
米EVメディアのElectrekが13日(現地時間)に報じた。Mind Roboticsは短期間で大型資金を調達しており、開発段階から製造現場への導入を見据えた体制づくりへ軸足を移しつつある点で注目を集めている。
同社は設立から1年足らずで10億ドル超(約1500億円)を調達した。Rivianは主要株主であると同時に、最初の顧客でもある。
フィールド氏はTeslaでエンジニアリング担当上級副社長を務め、「Model 3」の立ち上げを主導。その後はAppleの自動車プロジェクトや、Fordの電気自動車・デジタル・デザイン組織を担当した。
Fordは同氏の退社後、電気自動車組織を製造部門に統合した。フィールド氏は退社から約5カ月でMind Roboticsに参画したことになる。
スカリンジ氏はフィールド氏について、新技術を成功する製品へと落とし込んできた実績を持つ「卓越したリーダー」だと説明した。Mind Roboticsが実際の工場への導入段階に入る上で、欠かせない人材だとしている。
フィールド氏は、人工知能(AI)とロボティクスの融合について、「現代で最も重要かつ最も難しいエンジニアリング課題の一つだ」と述べた。
資金調達のペースも速い。2025年末には、Eclipse主導で1億1500万ドル(約173億円)のシード投資を受けた。
続く2026年3月には、AccelとAndreessen Horowitzが共同主導するシリーズAで5億ドル(約750億円)を調達。さらに同年5月には、Kleiner Perkins主導で4億ドル(約600億円)を追加調達した。
当時の企業価値は34億ドル(約5100億円)と報じられている。
もっとも、同社は現時点で製品を公開していない。一方で、製造現場の高精度な作業に対応できるよう、ファウンデーションモデルと専用ロボットハードウェアを一体で開発していることを明らかにしている。
ただ、そのハードウェアがヒューマノイド型かどうかは公表していない。
Mind Roboticsの強みの一つは、Rivianの工場にアクセスできる点にある。Rivianは出資者であると同時に初期顧客でもあり、実際の自動車生産ラインで学習データを蓄積し、ロボットを現場投入できる環境を確保している。
Rivianは現在、イリノイ州ノーマル工場でR2の生産拡大を進めている。2025年7〜9月期の納車台数は1万9248台だった。
こうした構図は、Teslaのヒューマノイドロボット「Optimus」と比較される。TeslaはOptimusを将来の成長ドライバーと位置付けてきたが、生産ペースや工場での実運用を巡る目標はたびたび先送りされてきた。
イーロン・マスク氏は2025年、約1万台を生産し、年末までに1000台を工場で活用する計画を示していた。一方、2026年1月には、実用的な作業をこなすロボットはまだ存在しないと認めている。
その後、Teslaはフリーモント工場のModel SとModel Xの生産ラインをOptimus向けに転換した。Optimus V3の公開日程も繰り返し延期された。
マスク氏は2026年7月、生産は「当初は極めて遅い」とも述べている。
これに対しMind Roboticsは、公開デモや生産台数目標を前面に出すのではなく、実際の組立ラインを軸に開発を進めている。Rivianという初期需要先を持ち、実工場のデータを基にロボットの完成度を高める戦略だ。
今回のフィールド氏起用は、研究段階にとどまらず、量産可能な産業用ロボットへつなげる実行力を強化する人事とみられる。実験段階のハードウェアを量産体制に乗せてきた同氏の経歴を踏まえると、Mind RoboticsがAIモデル開発にとどまらず、自動車工場で交代勤務レベルの安定稼働を担うロボットハードウェアの実用化を目指す上で、重要な布石になりそうだ。