Broadcom(写真=Shutterstock)

Broadcomのホック・タン最高経営責任者(CEO)が、人工知能(AI)関連投資の過熱に警戒感を示した。一方で同社は、主要顧客によるAIチップ調達を資金面で支援しており、警告と事業拡大を同時に進める構図が鮮明になっている。タン氏の発言を受け、アジアの半導体株は軟調に推移した。

ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanによると、タン氏は12日にシンガポールで開かれたイベントで、AI関連の投資家について「カジノのギャンブラーのようだ」と述べた。過度な期待が先行し、何に投資しているのか十分に理解しないまま資金を投じる投資家も多いと指摘した。

企業によるAIの試験導入に伴う支出についても、子どもに10ドル分のゲームセンターのトークンを渡せば、10分で使い切って何も学ばないのと似ていると例えた。

また、AI事業の採算性は売上高の伸びだけでは測れないとの見方も示した。OpenAIの年換算売上高が9月時点で約500億ドルに達していることは需要の強さを示す一方、巨額の学習コストを踏まえると、長期的な利益構造は別問題だとした。

市場は敏感に反応した。13日の韓国総合株価指数(KOSPI)は6%超下落し、日経平均株価も3%近く下げた。SK hynixやSamsung Electronicsなど半導体関連銘柄に売りが広がった。

相場の重荷となったのは、タン氏の発言だけではない。中国のメモリー半導体メーカーCXMTのシェア拡大も投資家心理を冷やした。CXMTの世界DRAM売上高シェアは、2026年4〜6月期に10%となり、1年前の4%から大きく上昇した。現在はLPDDR6やNANDフラッシュにも事業領域を広げている。ナスダック先物も下落した。

もっとも、Broadcom自身の事業戦略はAI需要の拡大を前提としている。AIチップ売上高は今期の約58億ドルから、2028年度には230億ドル規模へと、およそ4倍に増えると見込む。

9月に発表した第3四半期決算では、売上高が296億ドルと前年同期比86%増となった。AIチップ売上高は167億ドルで、同221%増だった。こうした成長は、大手クラウド企業やOpenAIなどAI研究組織の支出拡大に支えられている。

Broadcomは実際に、顧客の資金調達にも深く関与している。報道によれば、OpenAIのカスタムプロセッサーの開発・購入に向け、500億ドル超の金融支援を進めている。

Anthropicに対しても、計算能力を担保に最大420億ドルの融資を約束し、総額600億ドル規模の銀行融資の一部を下支えしているという。この枠組みにより、Anthropicの調達コストは低下する見通しだ。

BroadcomとOpenAIの協業もすでに進んでいる。両社は2025年、Broadcomのネットワーキング技術を活用し、OpenAIが設計したアクセラレーターを10ギガワット規模で配備する契約を結んだ。タン氏は当時、これを「汎用人工知能の追求における重要な瞬間」と位置付けていた。

タン氏の発言は、AI投資ブームに対する内部からの警告とも受け止められる。一方で、Broadcomの業績や資金支援の動きは、AIインフラ拡大が依然として大手企業の中核事業であることも示している。市場は今後、タン氏が懸念する収益性の問題と、同社が後押しするAI需要の拡大が両立し続けるのかを見極めることになりそうだ。

キーワード

#Broadcom #AI #半導体 #OpenAI #Anthropic #資金調達 #AIチップ
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.