Bitwiseの最高投資責任者(CIO)を務めるマット・ホーガン氏が、NEAR Protocolのトークン「NEAR」に強気の見方を示した。ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが13日(現地時間)に報じたところによると、同氏はNEARの2030年目標価格を155.85ドル(約2万3400円)と試算。自律型AIエージェントの普及が、決済・精算を担うブロックチェーン需要を押し上げるとみている。
ホーガン氏はあわせて、強気シナリオでは562.81ドル(約8万4400円)まで上昇する可能性がある一方、弱気シナリオでは1.63ドル(約240円)まで下落し得るとの見方も示した。
今回の強気見通しの論点は、AIエージェントが新たなブロックチェーン需要を生み出すかどうかにある。ホーガン氏は、人の介在なしに決済や取引、予約、デジタル資産管理などをこなす自律型AIエージェントが普及すれば、アプリ間の資金移動や精算を処理するインフラとして、ブロックチェーンの重要性が高まるとみている。
NEARはこの需要を見据え、「NEAR Intents」を中核に据える。利用者やアプリケーションが、チェーンごとに異なる複雑な手順を意識せず、複数ネットワークをまたいで取引できる仕組みだ。
あわせて、チェーン抽象化技術によって、ユーザーがネットワーク間の技術的な違いを意識せずに複数のブロックチェーン資産を扱えるように設計している。こうした仕組みを土台に、AIエージェント同士が取引し、資金をやり取りする経済圏を支える構想だという。
もっともホーガン氏は、NEARの長期的な価値がAIエージェント市場の獲得だけで決まるわけではないとも指摘した。NEARにはすでに既存のユースケースがあり、AIはその上に積み上がる追加的な成長機会の一つだと説明している。
既存事業の実績も投資判断の材料に挙げた。NEAR Intentsはこれまでに約300億ドル(約4兆5000億円)規模のクロスチェーン取引を処理してきたという。ホーガン氏はNEARについて、時価総額が比較的小さいトークンの中では、足元の実需と中長期の上昇余地を併せ持つ事例だと評価した。
AIベースの金融の成長が想定を下回った場合でも、既存の取引需要が投資シナリオを下支えする可能性があるとの見方も示した。
こうした見通しは、BitwiseによるNEAR関連の投資商品の投入とも重なる。Bitwiseは9月末、ニューヨーク証券取引所Arca(NYSE Arca)にNEARの現物ETFを上場した。ティッカーは「NRR」。米国の投資家が、規制に準拠した投資手段を通じてNEARに投資しつつ、ステーキング報酬も得られるよう設計したとしている。
年率手数料は0.75%。原資産のステーキングは、Bitwiseの社内専任チームが担う。
9月25日時点のオンチェーンデータに基づく想定年率は5.3%とした。ただし、利回りは変動する可能性があり、保証はされない。
目論見書によると、ステーキング報酬全体の33%は、ステーキング代理人、受託機関、Bitwiseに配分される。残る67%は信託に帰属し、純資産価値(NAV)に反映される。
今後の焦点は、AIエージェントによる実需ベースの取引需要がどの程度の速さで拡大するかにある。ホーガン氏はETF上場時にも、AIエージェントが予約や決済などの活動を広げるほど、安全で独立した精算システムの必要性が高まると述べていた。
NEARが既存のブロックチェーン需要を維持しつつ、AIエージェントによる取引・精算需要まで取り込めるかどうかが、中長期の価値評価を左右しそうだ。