AIチャットボットサービスのCharacter.AIが、米連邦破産法11条(Chapter 11)の適用を申請し、裁判所管理下で資産売却手続きに入った。資金調達の難航に加え、月間で最大900万ドルの損失や、未成年者保護を巡る法的リスクが経営の重荷となった。Disneyは一部資産・権利を対象に、2000万ドルで初回入札した。
ブロックチェーン系メディアのDecryptが13日(現地時間)に報じたところによると、運営会社のCharacter Technologiesは12日、米デラウェア連邦破産裁判所に任意のChapter 11適用を申請した。
今回の手続きは債務再編よりも、裁判所の管理下で資産の全部または大半を売却する点に主眼があるという。
同社は売却手続き中も既存サービスを継続する方針で、有料サブスクリプションや課金体系も当面は維持する。利用者は会話履歴のエクスポートやアカウント削除を行える。
一方で、事業を引き継ぐ買い手が現れなければ、サービスが終了する可能性もある。売却手続きは11月末から12月初旬にかけて決着する見通しだ。
初回入札にはDisneyが参加した。対象はCharacter.AIの一部知的財産権と特定の法的請求権、さらにすでにDisneyへ移った元Character.AI社員向けの移行支援サービスで、提示額は2000万ドルだった。
契約は非独占の永久ライセンス形式とされ、Disneyが関連技術を利用できる一方、最終的な買い手にも同様の権利が確保される仕組みだという。
Character Technologiesは破産申請書で、資産と負債をそれぞれ5000万~1億ドルと申告した。月間の運営損失は約800万~900万ドルに達していた。
同社は規制当局への対応やプラットフォームの安全性強化を進めてきたが、新規投資の呼び込みは難航した。過去1年間にわたり事業継続策を探った末、裁判所管理下での売却を選んだとしている。
今回の破産保護申請は、直前まで続いていたサービス改編とは対照的でもある。Character.AIは9月28日、ロールプレイ向けモデルとテキスト対話モデルの新モデル2種を公開し、月額4.99ドルの低価格サブスクリプションも投入していた。
しかし、その約2週間後に破産裁判所の手続きに入り、独立した事業継続が難しい状況となった。
Character.AIは2021年、Google出身のエンジニアであるノアム・シャジアー氏とダニエル・ド・フレイタス氏が設立した。利用者が独自の性格や設定を持つAIキャラクターを作成し、他の利用者と共有できるサービスとして拡大してきた。
2023年には、Andreessen Horowitz(a16z)主導の1億5000万ドル規模の資金調達で、企業価値は10億ドルと評価された。
その後は中核人材と技術の流出が続き、独自AIモデルの開発基盤が弱まった。Googleは2024年8月、共同創業者2人と研究チームの一部を再び迎え入れ、約27億ドル規模の契約でCharacter.AIの技術ライセンスも確保した。
これ以降、Character.AIは自社の大規模言語モデル開発から後退したとみられている。
人材流出は今年も続いた。Character.AIの最高経営責任者(CEO)を務めたカランディプ・アナンド氏は9月、Disney初の最高技術責任者(CTO)に就任し、スタートアップ出身のエンジニアの一部もDisneyに合流した。
Disneyが今回の売却手続きで初回入札者となった背景には、こうした人材移動と技術面での接点があるとみられる。
未成年者保護を巡る訴訟リスクも、経営悪化の一因とされる。2024年10月には、フロリダ州の母親が、14歳の息子がチャットボットに情緒的に依存した後に自死したとして、Character.AIと共同創業者、Googleを提訴した。その後も他の家族による訴訟が続いた。
米連邦取引委員会(FTC)は2025年9月、Character.AIを含む7社に対し、未成年者保護策の説明を求めた。Character.AIは1カ月後、18歳未満の利用者によるオープン型キャラクターチャットを禁止した。
今年1月には、フロリダ、コロラド、ニューヨーク、テキサスの各州の家族が起こした訴訟について、Googleとともに和解したという。
Disneyとは知的財産権を巡る対立もあった。Disneyの法務部門は2025年9月、自社キャラクターを模倣したチャットボットの運営停止を求める警告書を送付し、Character.AIは該当ボットを削除した。
その後、Disneyは売却手続きの中で、一部知的財産権や法的請求権などを対象に入札提案を示した格好だ。
プラットフォーム終了の可能性は、利用者にも直接影響する。Character.AIはサービス終了の可能性を告知し、会話履歴のバックアップ方法やアカウント削除手順を案内したほか、メンタルヘルス支援ページも用意した。
同ページには、ストレスや暗い考えへの対処を目的とした無料の匿名短期プログラムや、相談員につながる無料ホットラインの情報が掲載された。
AIコンパニオン系サービスは、利用者が特定キャラクターと長期間にわたって会話を重ね、関係性や記憶を蓄積していく特性を持つ。このため、プラットフォームの終了やAIモデルの変更は、通常のサービス停止以上に大きな喪失感につながる可能性がある。
Character.AIも会話履歴のバックアップを案内しているが、記録を保存できても、従来のキャラクターや会話体験がそのまま維持されるとは限らない。
今後の焦点は、最終的にどの企業が買い手となるか、そして新たな運営主体が既存サービスの継続意思を持つかどうかにある。Disneyの2000万ドルの入札は一部資産・権利を対象とするもので、プラットフォーム全体の買収やサービス維持が決まったことを意味するわけではない。
事業を引き継ぐ買い手が現れなければ、Character.AIはサービス終了を避けられない可能性がある。