ドナルド・トランプ米政権の発足後、電気料金とガソリン価格がそろって上昇するなか、化石燃料を重視するエネルギー政策が家計負担をさらに押し上げ、クリーンエネルギー投資も冷え込ませる可能性があるとの分析がまとまった。
米Cleantechnicaは12日(現地時間)、米環境団体の天然資源保護協会(NRDC)が公表した報告書を引用し、トランプ政権のエネルギー政策が電力コストや燃料費負担を押し上げる一方、クリーンエネルギー分野への投資を萎縮させていると報じた。
米国の家庭向け平均電気料金は、2025年1月の1kWh当たり15.9セントから、2026年7月には18.3セントへ上昇した。上昇率は15.1%。州別ではオハイオ州が25%、アイオワ州が33.3%上がった。
背景には、データセンターの電力需要の急増に加え、送電網拡充に伴うコスト増、天然ガス価格の変動があるという。
ガソリン価格も大きく上昇した。2月28日以降、米国の対イラン軍事作戦が始まって以降、全米平均のガソリン価格は約50%上昇した。
これにより、一般家庭の燃料費負担は7カ月で540ドル超増えるとNRDCは試算した。
NRDCは、トランプ政権が風力や太陽光への支援を縮小し、老朽化した石炭火力発電所の稼働延長を進めたことで、エネルギーコストの上昇圧力が強まったと分析している。
電気自動車(EV)の普及を後押ししてきた政策も後退した。NRDCは、クリーン車関連政策や燃費基準の緩和によって、新車1台当たりの生涯燃料費が平均1624ドル増えるとの見通しを示した。
投資の停滞も鮮明だ。中止に追い込まれた米国内のクリーンエネルギー製造、発電、バッテリー蓄電事業の規模は約860億ドルに達したという。
これにより、5万件超の新規雇用創出計画も失われたと集計した。
NRDCは今後10年間で、最大540GWの新規発電・蓄電設備の整備が実現せず、最大7000億ドルの投資機会が失われる可能性があると予測した。
大気汚染の悪化に伴う社会的コストも懸念材料だ。NRDCは、2026年から2035年までの追加コストが最大6400億ドルに達し、早期死亡者が約3万5000人増える可能性があると推計した。
もっとも、こうした長期的な被害額や影響は、NRDCによる政策分析に基づく予測値だ。実際の結果は、今後の政策運営やエネルギー市場の動向によって変動する可能性があるとしている。