Standard Charteredが、Rippleのステーブルコイン「RLUSD」のカストディサービスを提供する。これを受け、市場ではRippleの機関向け事業がXRPとは切り離された形でも拡大し得るとの見方が強まっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが13日、こうした動きを報じた。今回の提携は、RippleがXRP価格の上昇を伴わなくても、ウォール街や銀行セクターで事業基盤を広げられる可能性を示したとみられている。
焦点となっているのは、Rippleが機関向け決済ネットワークをRLUSD中心に広げている点だ。U.Todayは、ネイティブトークンであるXRPの役割が相対的に低下し、「選択肢の一つ」にとどまる可能性があると指摘した。
オンチェーン分析企業Santimentのアナリストも、今回の動きについて、RippleがXRPの成長に依存せずとも主要市場で存在感を高められることを示唆しているとの見方を示した。
市場の動きもそれを裏付ける。XRP価格が伸び悩む一方で、RLUSDの発行残高は拡大が続いている。RLUSDの時価総額は24億1000万ドルまで増え、世界のステーブルコイン市場で39位となった。PayPal USDの29億ドルに迫る水準だ。
機関マネーの関心が、価格変動性よりも決済効率や規制適合性に向かっていることも鮮明になっている。銀行はRLUSDを純粋な決済手段として捉えており、マルチチェーン構造の影響で取引はXRP Ledgerの外にも分散しているという。
このため、XRPはエコシステム内で独占的な「燃料」としての位置付けを薄めつつあり、Rippleの収益源も法定通貨準備資産の管理やインフラ利用手数料へとシフトしているとの見方が出ている。
Standard Charteredとの統合は、機関投資家の実務上のハードルを下げる材料にもなる。保守的なファンドにとっては、暗号資産取引所ではなく、規制下にある欧州の銀行でデジタルドルを保有しやすくなるためだ。
RippleとStandard Chartered、LMAX Groupは、クロスプラットフォーム担保システムの試験も最終段階に入っている。この仕組みでは、ファンドが銀行口座にRLUSDを保管したままでも、ブローカーがそれを既存ポジションの担保として扱えるようになる。
機関向けエコシステムの拡大は、出資面でも進む。Standard Charteredのベンチャー部門SC Ventures、Ripple、Circleは、企業価値250億ドルと評価されたOKXの投資ラウンドに共同で参加した。
U.Todayは、こうした主要プレーヤーが、ドル建てステーブルコインを中核とする閉じた決済エコシステムを構築しつつあると評価した。
XRPコミュニティの一部では、RLUSD取引の増加がXRP Ledger上の手数料バーンを押し上げ、XRPの希少性を高めるとの期待も出ている。ただ、U.Todayは、ネットワーク手数料が極めて小さいため、こうした主張は数量的に成り立ちにくいと指摘した。
また銀行は、数カ月に及ぶクローズドなコンプライアンステストを経てRippleの製品を導入している。実際の採用プロセスでも、価格変動の大きいXRPが前面に出る余地は限られるとの分析だ。
Rippleは、伝統金融向けの収益化では成果を上げつつある。一方で、その成果がそのままXRP需要の拡大につながる構造ではないことも、今回の事例で改めて示された。
今後の焦点は、RLUSDの追加発行と機関向け担保システムの商用化が進む中で、Rippleの事業成長とXRPの市場価値との結び付きがさらに弱まるかどうかにある。