General Motors(GM)は、電気自動車(EV)向け電池の開発を加速するため、米ミシガン州ウォレンのキャンパスに電池セル開発拠点を新設した。量産前のセル検証や製造工程の最適化を担う施設で、開発期間の短縮とEVの価格競争力向上につなげる。
米ITメディアThe Vergeは12日(現地時間)、この施設について報じた。新施設では、研究段階で開発した電池セルを量産前に検証し、製造プロセスと品質の確認を進める。
GMは、電池パックがEV総原価の30〜40%を占める点を踏まえ、電池開発の高速化とコスト低減を進める方針だ。米EV市場での販売台数がTeslaに次ぐ同社は、Teslaや中国EVメーカーとの競争を見据え、低コスト電池の開発を急いでいる。
開発拠点の規模は約46万5000平方メートル。モ・ガレゴス氏によると、投資額は9億ドルだ。生産能力は4〜5ギガワット時(GWh)規模を想定するが、主眼は大量生産ではなく、製造工程と品質の検証にある。実際の量産工場より少ない数量を生産しながら、工程や製造方式を試験・最適化する。
最初の試験生産対象は、リチウム・マンガンリッチ(LMR)を採用した角形セルとなる。GMは2026年10〜12月期に初の試験セルを生産し、2028年の量産開始を目指す。LMRはコバルトとニッケルの使用量を抑え、マンガンの比率を高めた電池化学系という。今後はエネルギー貯蔵システム(ESS)向けのナトリウムイオン角形セルの検証も進める予定で、関連技術を手掛けるスタートアップのPeak Energyと協力している。
GMは電池開発を4段階で進める。Kettering R&D研究所で新たな化学組成を開発し、2023年に開設したWallace Battery Cell Innovation Centerで大型試作品へと展開する。今回の新拠点では実際の製造装置を使って1日当たり数千個のセルを生産し、工程を検証する。その後、得られた技術やデータを、LG Energy Solutionとの合弁会社Ultium Cellsなどの量産パートナーに引き継ぎ、大規模生産につなげる。
開発期間の短縮に向け、デジタルツインとAIも活用する。GM幹部は、実機を稼働させる前にデジタルツインで製造工程をシミュレーションすると説明した。過去10年に蓄積した電池データを基に、化学組成や工程変更の影響を予測し、試作品の製作にかかる時間も減らす考えだ。
テユニは、スラリー混合工程のモデリングにより、混合時間を従来の推奨方式の半分に短縮できたと明らかにした。GMの電池・持続可能性担当バイスプレジデントは、シリコンやコバルトの含有量を変えた場合の結果も数日以内にシミュレーションできると説明した。GMは、電池開発全体に要する時間を従来比で約半分に縮めることを目標に掲げている。
ケルティは、長期的には試作セルや製造工程の物理試験を大幅に減らすことを目指すと述べた。GMは研究開発から工程検証、量産移管までを一貫してつなぐ体制を自社で整え、次世代電池の商用化を前倒ししたい考えだ。今回の投資が、実際の開発期間短縮とコスト削減にどこまで結び付くかが焦点となる。