アルカリ乾電池とリチウムイオン電池は、単純な性能差で使い分けるものではない。機器の消費電力や使用頻度、充電の要否に応じて適した電池は異なる。リモコンや壁掛け時計のような低消費電力機器にはアルカリ乾電池が向き、スマートフォンやノートPCのように高いエネルギー密度と充電性能が求められる機器では、リチウムイオン電池が主流だ。用途によっては、充電式のニッケル水素電池が有力な選択肢になる。
米ITメディアのEngadgetが報じた。アルカリ乾電池はAA、AAA、C、D、9Vなど一般的な規格で広く流通しており、価格が比較的安く入手しやすい。未使用のまま長期保管しやすい点も特徴で、リモコンやワイヤレスマウス、壁掛け時計など消費電力が小さい機器に適している。
一方、アルカリ乾電池の多くは使い切りの一次電池で、放電後は交換が必要になる。これに対し、リチウムイオン電池は充電して繰り返し使えるうえ、同じサイズでもより多くのエネルギーを蓄えられる。スマートフォンやノートPC、カメラ、ワイヤレスゲームコントローラー、電動工具などで広く採用されているのはこのためだ。小型でも比較的長時間の駆動が可能だが、専用の充電制御回路や管理機構を必要とする。
特に注意が必要なのが、一次リチウム電池とリチウムイオン電池の違いだ。いずれも名称に「リチウム」を含むが、構造も用途も異なる。AAやAAAの一次リチウム電池は、一般的なアルカリ乾電池の代替として使われる製品で、価格はアルカリより高いものの、電池の消耗が激しい用途や温度変化の大きい環境では優位になる場合がある。非常用機器や屋外機器など、安定した電源供給が重視される機器に適した選択肢とされる。
電池を交換する際は、機器側の対応状況も確認したい。アルカリ乾電池を前提に設計された機器に一次リチウム電池を使う場合は、メーカーが互換性を明記しているかを確かめる必要がある。アルカリ乾電池をリチウムイオン電池パックの代わりに使ったり、一次電池のアルカリ乾電池や一次リチウム電池を充電したりするのは危険で、過熱や火災につながるおそれがある。
AAやAAA電池を頻繁に交換する用途では、充電式のニッケル水素電池も検討に値する。代表例としてPanasonic eneloopがある。ニッケル水素電池はリチウムイオン電池とは異なる化学系だが、一般的なAA・AAA規格で提供され、家庭用機器の多くで繰り返し利用できる。ただし、公称電圧は一般に1.2Vで、一次アルカリ乾電池の1.5Vより低い。電圧に敏感な機器では、取扱説明書で対応可否を確認する必要がある。
廃棄時の扱いも電池の種類によって異なる。米国では、アルカリ乾電池を家庭ごみとして処分できる地域が多い一方、リチウムイオン電池やそれを内蔵した機器は、家庭ごみや一般の回収ボックスに入れるべきではない。廃棄や圧縮の過程で電池が損傷すると、火災が発生するおそれがあるためだ。リチウムイオン電池は、専用の回収拠点や回収プログラムを利用するのが安全とされる。運搬時は露出した端子を絶縁テープで覆い、電池同士が接触しないよう分けて扱うことが推奨される。
電池を選ぶ際は、価格や名称だけで判断せず、機器の消費電力、使用頻度、温度環境、充電の可否を総合的に見る必要がある。リモコンや壁掛け時計にはアルカリ乾電池、スマートフォンやノートPCにはリチウムイオン電池、AA・AAA電池の使用頻度が高い機器には充電式ニッケル水素電池というように、用途に応じた選択が重要になる。