ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は13日、フィジカルAI分野で世界最高水準の競争力を確保するには、政府が掲げる目標や投資規模が十分かどうかを改めて点検すべきだとの認識を示した。AI技術の進化が当初の想定を上回るスピードで進んでいるとして、今後3〜5年を見据え、官民でより高い目標を設定し、投資と技術開発を加速する必要があると訴えた。
同氏はソウル市江南区のCOEXで開かれた「フィジカルAIアライアンス懇談会」で、「フィジカルAI分野では、世界市場で主導権を握れる水準まで備えなければならない」と述べた。
そのうえで、「現在の計画や投資規模が十分なのか、目標に見合う形で実行できているのかを継続的に見直す必要がある」と指摘した。
背景には、AIを巡る技術進展の加速がある。ペ副首相は、米国ではすでに超知能(スーパーインテリジェンス)が議論の対象になっているとし、AIの発展速度は昨年の予測を大きく上回っていると説明した。フィジカルAIについても既存の見通しにとどまらず、目標水準や投資規模を引き上げる必要があるとの考えを示した。
「3年後、5年後になって『もっと投資しておけばよかった』と後悔しない水準で目標を立てるべきだ」とも述べた。「政府だけで全てを支えることはできないが、企業とともに実現可能な最大限の目標を定めてほしい」と呼びかけた。
さらに、「高い目標を今のスピードで積み上げていけば、いずれ世界首位のフィジカルAI強国になれる」と強調した。
ペ副首相は、フィジカルAIを製造業などの産業現場に適用し、新たな市場を創出できる有望分野だと位置付けた。中国がヒューマノイドロボットを産業現場へ積極的に投入し、データ蓄積を進めている点にも触れ、国内でも技術開発と産業実装を急ぐべきだと訴えた。
また、「3大メガプロジェクトは、現在の投資によって将来の成長力をつくるという意思を込めた事業だ」と説明したうえで、「その切迫感や熱意、準備が十分かを問い直し続ける必要がある」と述べた。
政府は来年度、フィジカルAI分野に3兆1000億ウォン(約3410億円)を投じる計画だ。今年の9000億ウォン(約990億円)から3倍超の増額となる。来年の省庁横断AI予算16兆4000億ウォン(約1兆8040億円)の約20%を占める規模だ。
国内の技術開発成果については前向きに評価した。ペ副首相は、海外ソリューションに依存しない独自AIモデルやソフトウェア開発力の面でも進展が見られるとしたうえで、これを国内プラットフォームやハードウェアと結び付け、競争力を高めることが重要だと説明した。
一方で、技術開発の成果を実際の産業需要につなげ、持続可能な事業モデルを発掘する取り組みは依然として課題だと指摘した。
ガバナンス分科委員長を務めるチャン・ヨンジェ韓国科学技術院(KAIST)教授も、「半導体やAIデータセンターには具体的な製品や産業があるが、フィジカルAIは技術そのものであり、どの製品・産業に結び付くのかをなお見極める必要がある」と述べた。
アライアンス参加企業は、昨年の発足時の120社から現在は437社へ増加した。今後は、民間需要を政府の研究開発(R&D)事業に反映し、実証や投資、事業化へとつなげる協力体制を拡大する方針だ。
ペ副首相は「国内企業は、フィジカルAIの協力モデルをパッケージ化・汎用化し、輸出産業へ育てていかなければならない」と述べたうえで、「現行の目標に何が足りないのか、大局的な観点から意見を示してほしい」と呼びかけた。