ステーブルコイン(写真=Shutterstock)

米財務会計基準委員会(FASB)が示した会計基準改定案を受け、一定の要件を満たすステーブルコインを企業の財務諸表で現金同等物として計上できる可能性が出てきた。実現すれば、企業が決済や資金運用でステーブルコインを活用する際の会計上のハードルが下がる可能性がある。

Cointelegraphが12日(現地時間)に報じたところによると、Stripeの支援を受けるブロックチェーン企業Tempoは、こうした見直しが企業の資金運用におけるステーブルコイン活用を後押しする可能性があるとみている。

焦点となっているのは、FASBが8月に公表した会計基準改定案だ。現行ルールでは、企業が保有するステーブルコインが米ドルで100%裏付けられていても、財務報告上は現金保有として扱えない場合がある。

その場合、流動性指標や融資契約上の評価に影響する可能性がある。企業にとっては、決済手段としてステーブルコインを使っても、会計処理の負担が残る構図だ。

Tempoは、今回の改定案がこうした問題の緩和につながると指摘する。要件を満たすトークンを現金同等物として計上できれば、ステーブルコインを決済手段として利用する際の会計上の不利益を抑えられるためだ。

もっとも、現金同等物として扱うには条件がある。企業は、ステーブルコインの発行体に対する直接の償還請求権を持つ必要がある。単に取引所でUSDCを購入しただけでは、現金同等物に分類できない可能性があるという。

Tempoは、要件該当性を左右するのはトークンそのものではなく、発行体との契約関係だと説明した。

実例として挙げられたのがCoinbaseだ。Coinbaseは2025年の年次報告書で、USDCとその他の決済用ステーブルコインを現金同等物に分類した。

これはCircleとの償還契約に基づく処理とされる。どのトークンを保有しているか以上に、発行体とどのような法的関係を結んでいるかが会計上の分類を左右することを示した格好だ。

改定案はなお手続きの途上にある。FASBは11月19日まで意見公募を実施している。

その後、寄せられた意見を踏まえて最終基準と適用時期を決める予定だ。企業がいつから新基準を適用できるかは、現時点では確定していない。

今回の議論は、米国で進むステーブルコイン規制の整備とも連動している。米国では2025年7月、決済用ステーブルコインに関する初の包括的な連邦規制枠組みとしてGENIUS法が成立した。

同法は、2027年1月、または連邦規制当局が詳細規則を確定した後120日のいずれか早い時点で発効する予定だ。GENIUS法が準備金や償還義務など発行体の要件を定めるのに対し、今回の会計基準改定案は、企業が保有するステーブルコインを財務諸表にどう反映するかを扱う。

市場規模も拡大が続く。DefiLlamaによると、米ドル連動型ステーブルコインの市場規模は3000億ドルを超えた。

こうした流れの中、米政府がドル建てステーブルコインの海外展開を後押しする方策を検討しているとの報道も出ている。Bloombergは、米行政府が財務省や国務省、米国際開発金融公社(DFC)などを交え、民間企業との海外ステーブルコイン事業での協力を検討していると報じた。

今後の焦点は2つある。1つは、FASBが発行体に対する直接の償還請求権という要件を最終基準にどこまで反映するかだ。

もう1つは、会計基準の整備とステーブルコイン規制が並行して進む中で、企業の資金運用手段としての位置付けが実際に強まるかどうかだ。Tempoは、今回の改定案が企業財務におけるステーブルコインの実用性を高める可能性があると評価している。

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