Z世代は、他世代に比べて職場でバーンアウトを経験しやすい傾向があることが、複数の調査で示されている。背景には、生活費の高騰や雇用不安といった経済的な圧力に加え、AIの普及に伴う業務再編で、学びながら仕事に適応する負担が重くなっていることがある。
GIGAZINEが12日付で伝えたところによると、カナダのゲルフ・ハンバー大学で社会福祉学を教えるニティン・デカ氏は、Z世代のバーンアウトを個人の適応力の問題として片付けるべきではないと指摘した。ワークライフバランスを過度に重視する世代と決めつけるのではなく、職場環境のひずみを示すサインとして受け止める必要があるという。
英国の労働者を対象に、新型コロナウイルス禍後 18カ月間のバーンアウトを調べた研究では、Z世代の回答者の80%がバーンアウトを経験したと答えた。11カ国で1万3000人超を対象にした別の調査でも、Z世代は他世代よりバーンアウトを感じやすい傾向が確認された。
2022年の国際幸福度調査では、18〜24歳の回答者のおよそ4分の1が、対処しきれないストレスを抱えていると回答した。さらに98%が、少なくとも1回はバーンアウトを経験したと答えている。
デカ氏は、仕事に期待していた内容と、実際に求められる役割とのずれが大きくなると、バーンアウトが起きやすくなると説明する。担当範囲が曖昧だったり、業務量が過大だったりする一方で、それに対応するための資源やスキルが足りない場合、消耗はさらに深刻になるという。
バーンアウトの症状は単なる疲労にとどまらない。仕事に対してシニカルになったり、周囲に機械的な態度で接したりするほか、達成感や自己効力感の低下にもつながり得る。
背景には、パンデミック前後で急変した労働環境もある。多くのZ世代は、人との接触制限や孤立が日常化していた時期に社会へ出た世代とされる。
業務プロセスや職務要件が急速に変わる一方で、同僚とのやり取りを通じて自然に学ぶ機会は減少した。こうした環境変化への対応負担が、若年層に重くのしかかったとの見方だ。
経済的な圧力も消耗に拍車をかけている。物価や生活費の上昇は全世代に影響しているが、社会人生活を始めたばかりの若年層にとっては、より直接的な打撃になりやすい。
住宅費の上昇や不安定雇用、経済格差の拡大も、Z世代の不安を強める要因として挙げられた。
AIの普及に伴う業務再編も無視できない。職場戦略の専門家であるアン・コワル・スミス氏は、Z世代について、同僚とのつながりが弱まりやすいハイブリッド勤務や、業務の文脈をつかみにくい自動化環境、さらに判断の背景まで丁寧に共有する余裕のない上司の下でキャリアをスタートした世代だと分析した。
職務や雇用の構造が変わるなか、十分に学び、適応する機会がないまま、新たな役割や期待への対応を迫られているというわけだ。
個人が取れる対策としては、孤立感を和らげることや、仕事と私生活の境界線を意識的に引くことが挙げられる。会議後に同僚と短く会話する、週に1回一緒にコーヒーを飲むなど、日常的な接点を増やすことが有効だという。
また、成果を出すために私生活を継続的に犠牲にするのではなく、予定の中に自分のための時間を確保することも必要だとした。
もっとも、個人の努力だけで解決するには限界がある。デカ氏は、雇用主がメンタルヘルス支援や柔軟な勤務制度を整え、管理職は業務範囲と期待水準を明確に示すべきだと強調した。
あわせて、特定の従業員に業務が過度に集中していないかを点検し、必要に応じて再配分できる仕組みを整える必要があるとも提案した。
デカ氏は、こうした見直しがバーンアウトの抑制と従業員のエンゲージメント向上につながる可能性があると評価している。Z世代が働きやすい環境を整えることは、結果として全世代にとってより良い職場づくりにつながるとしている。