IMFは、公的債務の膨張とインフレ、AI関連企業の資金調達拡大が国債市場の不安定要因になり得ると警告した。写真=Shutterstock

国際通貨基金(IMF)は13日、インフレの長期化や公的債務の膨張、AI関連企業による資金調達の拡大が国債市場の不安定化要因となり、国債利回りが急騰する可能性があると警告した。

中東情勢を背景とするエネルギー価格の上昇に加え、各国中銀の引き締め継続観測も重なり、複数の先進国では国債利回りが数十年ぶりの高水準にある。

CNBCによると、IMFは最新の「世界金融安定報告書」で、国債市場を巡るリスクが強まりつつあると指摘し、「国債利回りが急上昇する可能性」があるとした。報告書は、今週タイ・バンコクで開かれるIMF・世界銀行の年次総会に合わせて公表された。

年次総会には、世界経済と金融システムの現状を議論するため、1万8000人超が参加する。

報告書は、高水準の債務残高と借り換えリスクを背景に、国債市場が財政やインフレのショックにこれまで以上に見舞われやすくなっていると分析した。IMFは先週、世界の公的債務が第2次世界大戦後の最高水準に近づいており、近く国内総生産(GDP)比100%を上回るとの見通しも示している。

IMFは、国債市場は金融システムの土台であり、ひとたび混乱が起きれば影響は広範に及ぶと指摘した。国債利回りの急騰は割引率の上昇を通じて資産価格を押し下げ、AI関連資産にも波及し得るという。担保に差し入れられた国債の評価額が下がる可能性もある。

さらにIMFは、AI関連企業の借り入れ急増も債券市場の重荷になり得るとみている。国債と投資家資金を奪い合う形で資金需要が膨らんでいるためだ。報告書によると、2024年以降の世界の投資適格債発行額に占めるハイパースケーラーの比率は、1%未満から10%へ上昇した。

AlphabetやMeta Platformsなどの大手テック企業に加え、ハイパースケーラーやAI研究機関は今年、AIインフラ整備に向けて数千億ドル規模の資金を社債発行などで調達した。

Pacific Investment Management(PIMCO)で非伝統戦略部門の最高投資責任者(CIO)を務めるMarc Seidner氏は、AI関連の長期社債発行は政府債と投資家資金を競い合う水準まで拡大していると指摘した。一方で、現時点では国債利回りを左右する支配的な要因にはなっていないとの見方を示した。

IMFは、米国、欧州、英国では流動性指標がおおむね安定し、市場機能も維持されていると評価した。ヘッジファンドは、米国債の現物と先物の価格差を狙うベーシス取引の一部を解消したが、レポ市場に目立ったひっ迫は見られなかったという。

ただ、なお高水準のレバレッジが残っており、市場は無秩序なポジション解消に対して脆弱だと警告した。

報告書は米連邦準備制度理事会(Fed)のデータを引用し、米国債市場に占めるヘッジファンドの比率が2022年の約4%から2025年には約9%へ上昇したとした。日本については例外的に国債市場の流動性悪化が続いていると指摘した。

IMFはその背景として、イールドカーブ・コントロール(YCC)終了後に金利の変動性が高まったことを挙げた。

IMFは債務管理当局に対し、国債の年限を長期化するよう勧告した。長期債を大規模に短期資金へ置き換えるような運営は、借り換えリスクを高めかねないとしている。

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