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データセンターの電力需要拡大に伴って冷却用水の確保が課題となる中、石油・ガス開発で発生する「生産水」を再利用する動きが米国で広がっている。飲用水資源への負荷を抑えられる可能性がある一方、実用化には水質に応じた貯蔵設備の設計や長期保守の体制整備が欠かせない。

TechRadarが10月12日付で報じたところによると、米国ではデータセンター冷却向けの水再利用を後押しする政策や実証事業が進んでいる。米環境保護庁(EPA)は4月に公表した「水再利用行動計画2.0」で、データセンター冷却用途での水再利用拡大を優先課題の1つに位置付けた。関連する試験事業や契約も進行しているという。

注目されている水源が、石油・ガス開発に伴って発生する生産水だ。TechRadarによれば、米Permian Basinでは2025年に1日平均約2230万バレルの生産水が発生する見通しで、このうち約1600万バレルは廃棄処理の対象とされている。これをデータセンターの冷却に活用できれば、従来は処理していた水を産業用途に振り向け、飲用水の使用抑制につなげられる可能性がある。

ただ、生産水をデータセンターで利用するには、水質と貯蔵環境の精査が前提になる。生産水は供給源によって塩分濃度や鉱物含有量などが大きく異なるためだ。水の性状を分析したうえで、タンク、シーラント、内部コーティングといった貯蔵設備の仕様を決める必要がある。

データセンターでは通常、塩水、前処理水、処理済み工業用水、ろ過水、清浄水、消火用水などを用途ごとに分けて貯蔵する。生産水を導入する場合は、追加の貯蔵スペースを確保するだけでなく、水系ごとの水質や運転条件を個別に管理しなければならない。単純にタンクを増設するだけでは、安定した再利用体制の構築は難しい。

貯蔵タンクの素材選定も重要になる。腐食リスクや設置環境、保守条件によって適した素材が変わるためだ。TechRadarは、融着エポキシタンクが生産水や各種工業用水の貯蔵に活用できると説明した。溶融ガラス鋼板タンク、亜鉛メッキタンク、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製の分割型タンクなども、用途や現場条件に応じた選択肢になるとしている。

タンクの形状や設置スペースも、初期設計の段階で詰めるべき要素だ。屋外用地では円筒形タンクを設置しやすい一方、地下空間や設置面積に制約がある現場では、分割型や特殊形状のタンクが適する場合がある。配管接続、点検スペース、将来の保守時のアクセス性まで見込んでおかなければ、設置後の運用負担が増すおそれがある。

気候条件も無視できない。夏季の高温が続くPermian Basinでは、タンクが置かれる環境や設置位置、素材の耐久性を合わせて検討する必要がある。入札段階に入ると仕様変更が難しくなる場合もあり、発注前に設計条件と貯蔵条件を固めておくことが重要だ。

経済性も初期費用だけでは判断できない。データセンターは長期運用が前提となるため、タンクの耐用年数、保守費用、整備に伴う設備停止の影響まで含めて、ライフサイクルコストで評価する必要がある。原文では、工業用エポキシタンクと溶融ガラス鋼板タンクについて、適用方式によっては約35~45年の運転寿命を見込んだ設計が可能だとした。一方で、一部のライニング材やプラスチック系システムでは、より早い段階で大規模補修が必要になる可能性があるという。

さらに、生産水の性状が時間の経過とともに変化する可能性や、将来のデータセンター拡張計画も設計に織り込む必要がある。メーカーや設置パートナーが早い段階から参画し、現場条件を確認したうえで、承認済み資材と実際の施工内容が一致しているかを検証する手順も求められる。現地の製造基盤や地域施工業者の対応力は、輸送負担の軽減や工期順守にも寄与するとしている。

生産水の再利用は、水源とデータセンターが近接する地域では、冷却用水確保の有力な代替策になり得る。ただし実効性を高めるには、水質分析から貯蔵設備の選定、長期保守までを一体で設計しなければならない。データセンターの水確保戦略が再利用へ広がる中、貯蔵インフラの設計・運用能力が生産水活用の成否を左右しそうだ。

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