AMDは12日(現地時間)、エージェンティックAI向けラックソリューション「AMD Helion」を発表した。Open Compute Project(OCP)の仕様をベースに設計したオープンなインフラで、CPU専用モデルとCPU・GPU統合モデルを用意する。パートナー各社と開発を進めており、11月の投入を予定している。
Helionは、AIエージェントが担うタスクに応じてサーバー構成を最適化できるようにしたラック設計だ。AMDは、OCP仕様に同社のコンピューティング技術を組み合わせたとしている。
設計思想は、オープンプラットフォームを掲げる「AMD Helios」ラックスケールソリューションを継承した。企業は、エージェントの処理内容に合わせてCPU性能、コア密度、消費電力を調整し、必要に応じてGPUアクセラレーションを追加できる。
冷却方式は水冷と空冷の両方に対応し、オープンソフトウェアもサポートする。パートナー企業は、顧客のワークロードに応じて、エージェント実行、モデル推論、汎用コンピューティングを役割ごとに分けて設計できるという。
CPU専用ラックは、第6世代AMD EPYCプロセッサを搭載し、最大3万2768のCPUコアをサポートする。主に大規模データセンターを運用するハイパースケール顧客を想定する。
このモデルは、エージェント実行向けの専用コンピューティング容量を備え、モデル推論は別インフラに接続して処理する構成を採る。エージェント処理向けのCPU領域とモデル推論領域を分離する設計だ。
一方、オールインワンラックは、EPYC CPUノード、「AMD Instinct」MI350P GPUノード、汎用コンピューティングを単一プラットフォームに統合する。パートナー企業や顧客が、企業向けエージェンティックAIシステムを一括で構築できるようにした。
AMDは、既存のITインフラにエージェンティックAIを導入する企業について、これまでの設備投資を新たなAI機能の基盤として生かせると説明している。
Cisco、Dell Technologies、Hon Hai Technology Group、HPE、Lenovo、Supermicro、Wiwynnの7社は、Helionへの支持を表明した。AMDはHelionの仕様をOCPに提案し、コミュニティ主導で追加開発や導入を進められるようにする方針だ。
OCPは、データセンター機器の設計を公開・共有する業界団体。AMDによると、エージェンティックAI向けラックの構成は現在、エコシステムパートナーと共同開発を進めている。
AMDでコンピュートおよびエンタープライズAI部門の上級副社長兼ゼネラルマネージャーを務めるダン・マクナマラ氏は、「エージェンティックAIは単一のワークロードではない。個人向けエージェント、エンタープライズアプリケーション、コード実行、複雑なワークフローなど多岐にわたり、それぞれで必要なコンピューティング要件も異なる」とコメントした。
その上で、「こうした需要に対応するには、各ワークロードに最適化され、多様な要件に対応できるコンピューティングとインフラが必要になる。AMD Helionは、AMD EPYCの性能、オープンソフトウェア、柔軟なラック設計を組み合わせることで、パートナー企業が顧客要件に合ったシステムを構築し、利用可能な電力を効率的に活用できるよう支援する」と述べた。